研究課題/領域番号 |
26289319
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福永 久雄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50134664)
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研究分担者 |
胡 寧 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60250685)
跡部 哲士 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40586468)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 損傷モニタリング / 航空宇宙構造 / 圧電素子 / スマート構造 / 損傷検出 / ラム波 / レーザー超音波 / ラム波伝播挙動 |
研究実績の概要 |
本研究「圧電センサによる航空宇宙機構造の損傷モニタリングの研究」では、PZT圧電センサを内蔵した航空宇宙機構造要素について、運航中に実時間で自動的に損傷を検知する損傷モニタリング法の確立を目的としている。主要な研究項目は「衝撃荷重同定に基づく損傷モニタリング法」および「ラム波に基づく損傷モニタリング法」からなり、前者では、研究代表者らがCFRP積層板で開発した手法をさらに改良して、T型補強パネル、サンドイッチパネル、アイソグリッドパネルにおける衝撃荷重位置・履歴同定の高精度化と、同定結果から衝撃損傷位置および大きさを実時間で予測する損傷モニタリング法を開発する。一方、後者では、擬似はく離を有するCFRP積層板について損傷位置・大きさの高精度予測手法を開発する。平成26年度には以下の成果が得られた。 (I) 衝撃荷重同定に基づく損傷モニタリング法(福永・胡・跡部・院生2名) PZT圧電センサを内蔵したCFRP積層板およびFW複合容器について、落錘衝撃試験により、衝撃損傷を発生しないときと発生するときの衝撃荷重同定を行った。いずれの場合も、損傷を発生しないときの伝達関数を用いているが、荷重履歴の実験結果と同定結果はよい一致を示している。また、衝撃損傷を生じないときは半正弦波状のなめらかな荷重履歴を示すのに対し、衝撃損傷を生じる場合は、損傷進展に伴い急激な荷重低下を示す。荷重履歴同定に要する時間は1秒程度であり、同定した荷重履歴より損傷の有無を判定できることを明らかにした。 (II) 擬似はく離を有するCFRP積層板のラム波に基づく損傷モニタリング法(胡・福永・跡部・院生1名) 擬似はく離を有するCFRP積層板について、圧電アクチュエータあるいはレーザー超音波を用いてはく離損傷の検出を行った。実験結果は数値解析結果と良い一致を示しており、はく離損傷を短時間で検出できる手法を発展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた主要な研究項目のうち、「衝撃荷重同定に基づく損傷モニタリング法」ではCFRP積層板に加え、落錘衝撃を受けるFRP複合容器の衝撃荷重同定とそれに基づく損傷同定法の研究成果が得られた。また、落錘衝撃時の衝撃エネルギーと損傷面積の関係を明らかにして、衝撃荷重同定結果から損傷面積を予測できる手法を確立することができた。一方、「擬似はく離を有するCFRP積層板のラム波を用いた損傷モニタリング法」では、圧電アクチュエータあるいはレーザー超音波を用いてラム波を発生させ、振動計測装置を用いたラム波伝播実験結果と数値解析結果を比較し、良い一致が得られることを明らかにした。さらに、ラム波透過法を用いたはく離検出手法を提案し、実験により高精度にはく離の大きさを同定できることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
「衝撃荷重同定に基づく損傷モニタリング法」では、前年度までのCFRP積層板およびFRP複合容器の同定法の研究を発展させた。今後は、インパルスハンマ打撃試験および落錘衝撃試験により、CFRP-T型補強パネル、CFRPサンドイッチパネル、アイソグリッドパネルの衝撃荷重位置・履歴同定法を開発する。また、同定した衝撃荷重より、損傷の大きさを予測する損傷同定法を発展させる。 一方、前年度の「擬似はく離を有するCFRP積層板のラム波を用いた損傷モニタリング法」を発展させ、CFRP-T型補強パネル、CFRPサンドイッチパネルについてラム波による損傷検出法を開発する。圧電アクチュエータあるいはレーザー超音波によりラム波を発生させ、振動計測装置によりラム波伝播挙動を解明して、実時間での損傷検出法を確立する。特に、CFRP-T型補強パネルの補強材とスキン部との接着部におけるはく離について、ラム波を用いた検出法を発展させ、超音波探傷結果と比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
CFRP-T型補強パネルの製作を依頼して購入する予定であったが、製作会社での製造が年度内に間に合わないとのことであったので、平成27年度に製作を依頼することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
CFRP-T型補強パネルを平成27年度に購入する。
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