研究課題
①2偏波のハニカムパネルスロットアレイ・アンテナの電気計測:H26年度に試作した2偏波の平面ハニカムパネルスロットアンテ)の電気特性を計測し、開口効率約50%を得た。両偏波のビーム方向が約2度ずれていたが、パネル誘電体材料の誘電率のモデル化の問題であることが判明し、問題解決の目処がついている。②アンテナパネルの熱解析、熱歪解析・計測:アンテナパネルの非定常温度解析、熱歪解析を行った。モデルの検証として大気中で表裏に温度差をつけた状態での熱歪計測を行った。パネルの温度予測と熱歪解析を組み合わせて、要求される0.6mmmrms 程度の面精度を実現するパネルの構造熱様式と姿勢運用の工夫により、解決の目処を得た。③片翼3枚パネルの展開試験、展開状態での面形状計測:機械的なダミーパネルを用いた片翼3枚パネルの展開試験を実施し、正しく機能することを検証した。展開静定角の再現性が、0.01度以下であることを検証した。④ Xバンド電力合成器の試作・評価:6個の200WのX帯GaN増幅器出力を直接導波管共振器に入力して電力合成し、矩形導波管にコンパクトに変換する電力合成器の設計・製造・計測を行った。小信号特性としてはほぼ設計通りの結果が得られた。⑤大電力レーダの熱設計,熱真空試験:大電力マイクロ波増幅装置の排熱設計、及び、熱真空モデル試験を実施した。熱モデルによる熱真空試験を実施した。熱解析結果と一致する結果が得られた。 ⑥高速ダウンリンク通信:ほどよし4号衛星からの64APSK変調、505Mbpsダウンリンク信号の復調復号に地球周回衛星として世界で初めて成功した。
2: おおむね順調に進展している
アンテナ開発、送信電力増幅器、高速ダウンリンク通信などの研究は、順調に進んでいる。これは、研究開発テーマの筋の良さ、研究者の熱意、物理的洞察力に支えられた研究者の技術力のおかげである。
①ハニカムパネルスロットアレイアンテナ:地上分解能1mを達成する合成開口レーダに対して、チャープ周波数帯域300MHzに対応するハニカムスロットア レイ・アンテナの電気特性を計測する。進行波アレイ・アンテナの周波数帯域を広帯域にするために、進行波導波路の単位長を短くする工夫を行う。②アンテナパネルの熱真空試験:アンテナの熱歪にはアンテナパネルの温度分布が重要な影響を与える。宇宙空間におけるアンテナパネルの温度分布を、日照日影、地球赤外輻射の効果を含めて解析を行う。その解析を検証するために、アンテナパネルの熱真空試験を実施して、解析結果との比較を行い、軌道上でのアンテナパネルの温度分布の確度高 い予測を行う。③Xバンド電力合成器:6個の200WのX帯GaN増幅器出力を直接導波管共振器に入力して電力合成する合成器を広帯域化する。導波管共振器の構成を2重空洞共振器として、共振特性の広帯域化を行う。
電気工作室や機械工作室を研究室で実施して、予算節約に努力したため
研究計画の各種計測に用いる、電子部品や冶具工作に使用を予定している。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 8件) 備考 (1件)
IEICE Communications Society – GLOBAL NEWSLETTER
巻: Vol. 39, No. 2 ページ: pp.3-7
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