研究課題/領域番号 |
26289329
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
松永 三郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (00222307)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / 超小型衛星 |
研究実績の概要 |
超小型衛星システム技術を高度化する研究開発として、衛星の大きさが変わる形状可変宇宙システムの姿勢制御に使用できるアクチュエータの候補として、CMGに着目し、3軸姿勢制御方法を検討した。具体的には、50kg級超小型衛星TSUBAMEを題材にとり、CMGを用いた制御方法と地上統合試験について研究を行った。姿勢表現に修正ロドリゲスパラメータを用いた修正スライディングモード制御、またCMGの操舵則として、従来のG-SR操舵則の2組のパラメータに対して新しい選定基準を用いたW-SR操舵則を提案し、数値シミュレーションにより有効性を示した。センサモデル、CMGを含むハードウエア駆動モデル、姿勢決定制御ソフトウエアを組み込んだ衛星シミュレータを用いて、CMGの各種姿勢制御法を衛星搭載計算機に実装し、姿勢変更性能や消費電力などの軌道上性能を模擬して、その有効性を明らかにした。 超小型衛星のミッションの高度化、高消費電力化に対応するため、太陽光の放射照度・セル温度に応じた太陽電池の発生電力を模擬する電源、計算機内の姿勢・軌道シミュレータ、衛星の姿勢制御、搭載計算機からなるシミュレータを提案して開発して、TSUBAMEがロケット分離から太陽指向まで最長となる条件でも電力収支が正になりバッテリが枯渇しないことを示した。衛星打ち上げ後地上実験を行い、ロケット分離後のバッテリ残量の変化を軌道上データと比較して5%の精度で推定した。 システムの形状を可変にする展開収納技術に着目して、超軽量、高展開率を持つ展開ブームの設計・試作に関する研究を行った。高収納性と高比剛性を両立する伸展部材を実現するために、CFRP製の2枚のブーム材を合わせ、それらをレースファスナーで閉断面処理する方法を取った伸展ブームを検討して、伸展収納実験、および解析検討を行い、課題を明確化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな理由の一つとして、50kg級超小型衛星TSUBAMEのフライトモデルを完成させ、実際に軌道上に打ち上げて運用することができ、極めて実践的に研究開発を進めることができたため。また、全国的な超小型衛星のリサーチグループを形成して、そこで、議論を行う取り組みを別途行っており、その効果もあるのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、今までと同様に、実際に宇宙で活動することを念頭において、実践的に研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入物品が予想よりも安く済んだことと、翌年度に一部の試作を回したため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の研究は概ね順調に進んでおり、解析を重視して一部の設計試作を後回ししたが、翌年度以降に問題なく設計試作を進められる予定である。
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