研究課題/領域番号 |
26289345
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鷺坂 将伸 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60374815)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 超臨界二酸化炭素 / 粘度 / 原油増進回収 / ハイブリッド |
研究実績の概要 |
H26年度でCO2の粘度増大を引き起こした化合物(C6F13-Ph-COC7H15, Ph:フェニレン基)の超臨界CO2中での会合体のナノ構造を小角中性子散乱により調べてみると、残念ながら200bar条件下の散乱は低コントラストのため明確なSANSプロファイルが得られなかったが、100bar程度の低圧力下では円盤状の会合体の存在を示すSANSプロファイルが確認された。H27年度では、より大きなCO2の粘度増大を引き起こす高アスペクト比の棒状会合体の形成に向け、ハイブリッド化合物の構造の最適化を進めた。詳細には、H26年度にCO2粘度の増大を発現したハイブリッド化合物(C6F13-Ph-COC7H15, Ph:フェニレン基)に対し、カルボニル基より強い相互作用を生み出すウレア基を導入した化合物や、2つの分子をアルキル鎖で連結した二量体を合成した。残念ながら二量体は、その分子量の大きさから超臨界CO2へまったく溶解せず、粘度増大は確認されなかったが、ウレア基を導入した化合物は、75℃の高温でも200bar程度の圧力で、40%程度のCO2の粘度増大を引き起こした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
棒状会合体の形成を考え分子を設計し、合成し、試験しているが、小角中世散乱測定で得られた結果では、棒状ではなく、円盤状の会合体がしばしば確認された。また、会合体の構造をより二次元的に発達させようと設計した分子が、導入した強い分子間相互作用のため、また二量化のように大きな分子量のため、超臨界二酸化炭素に不溶になってしまい、機能しなくなることがしばしば起こった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分子間相互作用の増加については、二酸化炭素に不溶にならないように、慎重に導入し、また分子量も1000を超えない程度に制限して、分子設計を行う。また、分子設計だけに頼らずに、棒状の長軸方向の分子間相互作用を促進させる補助剤の探索、または棒状会合体のバックボーンとなる高分子の探索に力を入れる。 さらに、当該研究に対して専門性を有する海外の研究者とできるだけネットワークを築き、本研究に彼らの意見を取り入れる。例えば、科研費の国際共同研究強化の採択により、英国ブリストル大学Prof. Eastoeおよび米国ピッツバーグ大学のProf. Enickと共同研究を実施する体制は築いており、彼らとメール等で活発に連絡を取り合い、ご助言を参考に研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験補助者(技術補佐員)の勤務日数が予定より少なかったため、わずかであるが、残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究をより促進させるために、実験補助者の勤務日数を増やし、その増額分の雇用費用に充てる。
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