研究課題
国際熱核融合実験炉ITERでは炉内トリチウム(T)蓄積量を低減するため、従来の炭素材に替えて、第一壁やリミタ材料としてBeを、ダイバータ材料としてWを用いる。その準備のため、欧州のJoint European Torus (JET)においてBeとW被覆炭素材を用いたITER-Like Wall(ILW)実験が実施されている。本研究では、ITERでのT蓄積予測に必要なデータベースを構築するため、JET-ILW実験で使用された壁材料中のT蓄積を調べた。今年度はILW第3サイクル実験(2015~2016年)で使用されたW被覆ダイバータタイル中のT分布をイメージングプレート(IP)法およびβ線誘起X線計測(BIXS)法で測定し、昨年度までに得た第1サイクル(2011~2012年)および第2サイクル実験(2013~2014年)後の分布と比較した。その結果、内側ダイバータ部のT濃度が外側と比べ高いという傾向に変わりはないものの、第3サイクル実験後は第1および第2サイクル実験後と比べTの分布がより均一になっていることがわかった。すなわち、同じ壁材料を用いた場合でも、運転条件によりT蓄積挙動が顕著に変化することを見出した。また、第1サイクル実験後に真空容器から採取されたダストについて、個々のダスト粒子中のT蓄積量をIP法によって測定するとともに、電子線プローブマイクロアナライザーを用いてダスト粒子を構成する元素を同定した。その結果、ダストは炭素を主成分とするものと、WやBe等の金属を主成分とするものに大別され、金属ダスト中のT蓄積量は炭素ダストの1/10~1/100程度であることを明らかにした。これまでにも核融合装置中で発生したダスト中のT蓄積量の測定例はあるが、多くのダスト粒子についての平均値のみであり、個々の粒子中のT蓄積量を評価したのは本研究が初めてである。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physica Scripta
巻: 2017 ページ: 014014
https://doi.org/10.1088/1402-4896/aa8931
http://www.hrc.u-toyama.ac.jp/jp/