研究課題/領域番号 |
26289357
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前川 孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20127137)
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研究分担者 |
田中 仁 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (90183863)
打田 正樹 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (90322164)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ECH/ECCD / 非誘導磁気面形成 / 大型トカマク |
研究実績の概要 |
LATE装置での実験準備:①LATEプラズマ中の高速電子からの順方向および逆方向放射X線を効率よく2次元面で検出すべく新たにピンホールカメラ型のX線カメラの設計製作を進めた。高時間分解でエネルギー分解も可能である。②現有のX線波高分析測定の効率を大幅に改善すべく、従来の専用電子回路による方式ではなく高速大容量のデジタイザーによるX線波形全体のデータ収集と数値解析による波高分析方式を目指して解析ソフトの開発を進めた。③高速電子の電極による直接検出として磁場に垂直方向へのドリフトする高速電子の静電気型検出を試みたがイオンの混入を遮断することが困難であった。次の試みとして磁場に平行方向にドリフトする高速電子の静電気型検出を検討した。
KSTAR実験結果の解析:多チャンネル軟X線データ、磁気データ、および接線方向から撮像した可視光帯カメラ像などのデータ解析と流体モデルによるプラズマ平衡の解析を合わせて出現した磁気面の大きさと形状についての確度の高い情報を得た。この情報はこの磁場配位での高速電子の振る舞いをフォッカープランク方式で解析する基礎となる。 ECH/ECCDによる磁気面形成に関わる高速電子の振る舞いについてのモデリング:ECH/ECCDの解析に用いられた従来の標準的なフォーカープランクコードを調べ、今回の閉磁場と開磁場が共存する場合への適用法を検討した。閉磁場と開磁場境界での高速電子の輸送量を自由パラメータで処理することが最も現実的であるとの見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ピンホールカメラ方式のX線カメラは高速電子の空間情報をもたらすので非常に有用である。今回の研究課題では閉磁場と開磁場間の高速電子の輸送を適切にモデル化することがポイントになる。これは従来行われなかったことであり、この測定機による情報はモデリングを進めるうえで極めて重要になる。この方式のカメラ制作への一歩を踏み出した。 ②LATEプラズマの高速電子に関する現有のX線波高分析装置の改善が進んだ。特に波高分析方式に関してコンピュータ上で高速に数値解析を行う解析ソフトの実現の目途がたった。 ③電極により高速電子の直接検出する場合の静電気型の条件(磁場に対する向き)に関して有用な情報を得た。 ④KSTARの実験での磁気面の大きさと形状についての確度の高い情報を得た。これはきわめて貴重な情報であり、今後のモデリングの基礎となる成果である。 ⑤閉磁場と開磁場間の高速電子の輸送の取扱いについての検討が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
①2次元ピンホール方式X線カメラの制作を進める。 ②磁場に平行方向にドリフトする高速電子の静電気型検出を試みる。 ③高速電子に関するモデリングをKSTAR実験の磁気面構造に関する解析結果を基盤にして進める。閉磁場と開磁場境界での高速電子の輸送量を自由パラメータで取り扱う具体的な方式を確立する。 ④さらに、高速電子軌道では短時間では衝突を無視でき、エネルギーEと磁気モーメントmと角運動量Lが近似的に保存する。すなわち、軌道ごとに一つの組(E,m,L)が対応する。ECHや衝突によりこれらが徐々に変化する。分布関数をf(E,m,L,t)と書いて、ECHによる分布関数の発展を記述できるフォッカープランク方程式を定式化する。 ⑤一方KSTARのような大型トカマクではミリ波ビームのEC共鳴層でのトロイダル磁場に対する伝播角θ(N//=cosθ)により、サイクロトロン共鳴楕円の形状と加速の向きは大幅に変化し、捕捉電子の生成に大いに関係する。従来のモデリングでは、V//=0の垂直線に沿った仮想共鳴線上でV⊥のみが増大するという単純化を行った。これをミリ波の伝播角や(共鳴加速の大きさを決める)偏波の効果を取り込んだ本来のものにレベルアップし、通過及び捕捉電子群に対する伝播角と偏波の効果を調べる。
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