研究課題/領域番号 |
26289361
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
鎌田 康寛 岩手大学, 工学部, 教授 (00294025)
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研究分担者 |
小林 悟 岩手大学, 工学部, 准教授 (30396410)
村上 武 岩手大学, 工学部, 技術専門職員 (60466513)
渡辺 英雄 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90212323)
大島 永康 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (00391889)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原子力エネルギー / 金属物性 / エピタキシャル / 照射損傷 / 磁気特性 |
研究実績の概要 |
本研究では、原発機器構造物の照射環境下での劣化現象の非破壊評価技術の開発を目指し、実用構造材料が多結晶であることを念頭におき、効率的な実験が可能な”コンビナトリアル型研究”を実施する。 初年度は、既存のコンビナトリアル型合金成膜装置の改造・強化に重点を置き、試料作製プロセスの構築を図った。(1)結晶構造と膜質を評価するために反射高速電子回折(RHEED)装置及びカメラを導入し、in-situ評価が可能なシステムを構築した。また、(2)イオンポンプを導入して成膜真空環境の改善を達成した。(1)(2)ともに、既存の成膜装置を設計製作したエイコー(株)と協力して、RHEEDの設置、そのための基板ホルダー回転・位置あわせ機構の導入及び装置本体の真空排気部の拡張を行うことができた。 改造・強化した装置を用いて、単結晶基板上に純鉄および鉄クロム合金を成膜して、結晶構造と膜質を評価した上で、重イオン照射実験と磁気特性評価を実施した。薄膜成長の観察過程で、これまでに報告のあるFe(001)エピ成長の他に、膜厚が厚い場合にFe(221)エピ成長が生じることを新しく見出した。照射効果についてバルク材と比較する上で考慮する必要のある重要な現象で、次年度に成長機構の解明を行う予定である。また、作製した厚膜の照射温度による磁気ヒステリシス特性の違いを明らかにした。 並行して、FIB装置を用いた多結晶バルク試料切り出し実験を行い、ピンポイント型研究の基礎実験を行った。イオンガン導入では設置に必要な部材を揃え、次年度の本格運用に向けた準備が完了できた。 さらに、290℃で中性子照射したFe-20%Cr合金のアトムプローブ測定を実施し、照射による二相分離の促進効果を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結晶構造と膜質評価のための装置導入と成膜真空環境の改善を達成することができ、高品質な試料を用いた本格的なコンビナトリアル型実験が実施可能となった。一方でイオンガン使用の最適条件の選定までには至らなかったが、次年度に集中的に実施することで対応可能と考えられ、全体としては研究は順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に改造・強化したコンビナトリアル型合金成膜装置を用い、バッファー層利用を新たに検討して高品質化を図る。試料成膜条件を系統的に変えた薄膜試料の作製とイオン照射およびバルク材のイオン照射を新たに実施するとともに、ベルギーBR2炉で中性子照射したFe-Crバルク多結晶材を活用して、各種物理特性に与える照射効果を系統的に調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度にコンビナトリアル型合金成膜装置に蒸着装置を購入・設置し、成膜プロセスの強化を図るため、研究費の一部次年度使用が必要と判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の補助金とあわせて、蒸着装置の購入費にあてるとともに、研究を遂行する上で必要となるその他の経費に使用する。
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