研究課題
超高真空蒸着装置を用いてFe-CrおよびFe-Ni合金薄膜を作製し、RHEED、EBSD、AFMを用いて結晶構造・薄膜形態を調べるとともに、Cuイオンを用いた重イオン照射実験を実施し、磁気ヒステリシス特性およびキュリー温度に与える照射効果をVSMにより明らかにすることができた。同時にFe-Cr系合金のバルク材の関連研究を実施した。Fe-20%Cr多結晶合金の熱時効財および中性子照射材のアトムプローブ測定データに対して、今年度に専用解析ソフトを導入してナノ組織解析を実施した。その結果、照射材には微細なCrクラスターが高密度で存在し、組成も熱時効材と異なることを定量的に示した。それらのナノ組織情報をもとに硬度と磁気ヒステリシス特性の相関機構と相関の有無の妥当性を示した。さらに実用材料の二相ステンレス鋼(DSS)および低放射化フェライト鋼のバルク材を熱時効して、硬度・磁気ヒステリシス・熱起電力を測定し、EBSD、TEM、STEM-EDS、アトムプローブ観察を実施した。DSSの各種物理特性が時効時間に対して2段階で変化し、そのメカニズムをナノスケール組織変化(窒素・Mo系化合物の形成、Fe-Crスピノーダル分解)と対応させて解明した。またFe-Cr系合金の組織とEBSD局所方位差分布との対応を明らかにした。低合金鋼のバルク材研究として、実機軽水炉圧力容器のモックアップ材(クラッド付圧力容器鋼で非照射材)に対して、EBSD、STEM-EDS、硬度・磁気計測を実施し、溶接熱影響による傾斜組織を有する圧力容器鋼の磁気特性を解明した。薄膜・バルク材、重イオン・中性子照射および熱時効を組み合わせた照射損傷研究の有用性を確認し、照射脆化の非破壊評価法への適用の可能性を示して、本事業を総括した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mechanical Engineering Journal
巻: 3 ページ: No.16-00077
http://doi.org/10.1299/mej.16-00077