研究課題/領域番号 |
26289363
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大垣 英明 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (10335226)
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研究分担者 |
加藤 政博 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30185871)
静間 俊行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (50282299)
早川 岳人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (70343944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | LCSγ線 / FEL / ファイバーレーザー / NRF / 208Pb / CT / 同位体3Dイメージング |
研究実績の概要 |
核共鳴蛍光散乱(NRF)とγ線CTを組み合わせた新しい原理による同位体3Dイメージング法を開発する。このために、試料移動台やGe検出器やLaBr3(Ce)検出器からなる計測システムの構築を行い、208Pbを用いたNRF測定をUVSOR-IIIにおいて行った。 一方、UVSOR-IIIの自由電子レーザー(FEL)によるレーザーコンプトン散乱(LCS)γ線装置の開発のために、光共振器用の超広帯域ミラーの導入を行い、発振波長領域を800nmにまで拡張する準備を完了した。なお平成26年度ではUVSOR-IIIのマシンタイムの都合上FEL用光共振器を組み込む事は出来なかったために、バックアップ用の1.94-μmの波長のファイバーレーザーを用いてLCSγ線の発生とそのビーム特性評価を行うとともに、208Pbを試料にして、5.292MeVのNRFレベルの測定を行った。この結果、UVSOR-IIIの通常ユーザーモードである、750MeV、300mAトップアップ運転時に約10^7ph/sのLCSγ線の発生に成功すると共に、LCSγ線の最大エネルギーが5.403MeVであることを明らかにした。更に、このシステムを用いて208Pbの5.292MeVにあるNRFレベルの励起を試み、GeによるNRFピークの測定に成功した。これによりNRF測定及びNRF-CT測定の配置の最適化が可能になった。更に我々が開発したNRF計算が可能なGEANT4コードを用いて、透過吸収型NRF-CTのシミュレーションを235U及び238Uが存在するモデルに対して行い、238UのCT像の取得が可能な事を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユーザー共同利用放射光施設であるUVSOR-IIIにおいては、ビームを使用できないシャットダウン期間が限られており、特に平成26年度においては、平成27年4月にその期間が予定された。このためにFEL発振用の光共振器が導入されるのが平成27年度にずれ込んだ。この結果UVSOR-IIIでのFEL発信実験が平成27年度に持ち越された。しかしながら、バックアッププランとして用意していた、1.94μmのファイバーレーザーを用いて、10^7ph/sに及び大収量のLCSγ線の発生に成功すると共に208PbによるNRF測定に成功した。これにより、最終目標であるNRFを用いた同位体3Dイメージング実験が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、1.94μmのファイバーレーザーを用いたLCSγ線が使用可能であり、平成27年度はまずこのγ線と鉛試料を用いてCT像の取得を行う。また、平成26年度に計測した各種パラメータ及びビームラインの状況、更にはNRF-GEANT4シミュレーション結果より、透過吸収型のCTシステムを構築する事が有望な事から、平成27年度においては、当初の散乱型CTを変更し、透過吸収型CTを試みる事とした。この場合、Ge検出器による高分解能測定も使用可能である。
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