研究分担者 |
寺澤 倫孝 兵庫県立大学, 付置研究所, 研究員 (20197792) [辞退]
井上 博之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40203252)
岩瀬 彰宏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60343919)
宮本 修治 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (90135757)
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研究実績の概要 |
本研究では、金属材料の脆化や腐食などに関連する格子欠陥の原子レベルでの非破壊挙動を明らかにするための高速陽電子消滅測定装置の開発と、実際の金属中の水素原子と空孔との相互作用について評価する事を目的として実施して来た。 装置の構築に関しては、平成28年度までに完成した。装置の概要は蓄積リング電子、レーザー波長での陽電子エネルギー制御に成功し、陽電子エネルギーとして2MeV, 4MeV,6MeV, 8.3MeVの陽電子を発生させた。また、高速陽電子による金属材料中への注入プロファイルについても以下の方法で評価を行った。1mm厚の鉄板材を複数用意し間にシリコン板材を順に位置を変えて挟んだ測定を行い、陽電子到達深さなどを測定。一方で実測値の検証のためにモンテカルロシミュレーションによる計算を行い、実験結果との比較を行い一致している事を確認した。さらに、純鉄バルク材を水素脆性と関連する腐食実験を行い、腐食後の試料の高速陽電子による非破壊での測定を実施した。その結果、mm深さまで空孔型欠陥の生成を確認することに成功した。またそれらの空孔型欠陥と水素との関連性について解析および考察を行ったが、純鉄では空孔中に捕獲された水素原子を確認することは出来なかった。この結果に関連した実験として、種々の化合物合金についてエネルギーの異なる電子線照射による格子欠陥の制御および水素注入を行って陽電子消滅および水素放出挙動などの測定を行った結果、合金種および各合金における空孔タイプすなわち合金を構成する各元素についての空孔によって水素との相互作用が大きく異なっている事が解り、特に鉄基の化合物合金では空孔種を照射により制御すると、陽電子消滅等の実験結果から特定の空孔への水素の捕獲を示唆するデータが得られ、金属内部への水素の拡散過程で特定の空孔への捕獲が起こる事などを見いだした。
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