本研究では、プルトニウムの模擬抽出系としてジルコニウムイオンをリン酸トリブチル(TBP)/オクタン中に抽出した有機相について、広域X線吸収微細構造法、中性子小角散乱法、分子動力学計算を用いてその微視的構造を明らかにする検討を行った。その結果、ジルコニウムイオンとTBPによってつくられる抽出錯体どうしが、水分子、硝酸分子を介した水素結合によって会合を起こし、数ナノメートルの1次凝集体を形成することを明らかにした。さらに、この1次凝集体は逆ミセル的な構造をつくり、それらがファンデアワールス相互作用によってさらに大きな高次の凝集体を形成することを明らかにした。
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