研究課題
ペロブスカイト構造のCa0.5La0.5FeOx(CLFO,出発材料では酸素量x = 2.91(2))を正極,Alを負極,電解液としてAlCl3/(dinormalpropylsufone+toluene)を用いると,放電初期にCLFOから酸素が引き抜かれることを27年度に明らかにした.本年度はセル電圧で現れたプラトー領域(放電時0.5 V,充電時0.7 Vおよび1.1 V)での反応について調べた.X線回折測定の結果,放電過程で金属鉄に帰属される鋭いピークが現れ充電後には消失した.3 FeCl2 + 2 Al3+ + 3 e- = 3 Fe + 2 AlCl3の標準電極電位は、0.61 V (vs. Al/Al3+)であり、分極を考慮するとプラトー電圧と一致しており,コインセルケースに含まれる鉄が腐食によって電解液に溶出し、放電時に電極上で析出したと考えられる。また充電時の1.1 Vのプラトーはコインセルケース中の鉄の酸化的溶解反応(Fe + AlCl3→FeCl3 + Al3+ + 3 e-; 1.02 V vs. Al/Al3+)の可能性が高い.充電後のCLFOの酸素組成(x=2.75(2))は,放電後のx=2.76(1)と標準偏差内で一致しており酸素の再挿入反応は進まなかった.以上より正極反応として想定していた可逆反応3 O(in CLFO) + 2 Al3+ + 6 e- = Al2O3は進行しないことが判明した。また,Li負極を用いた場合にペロブスカイト型酸化物表面で進行するLi2O2とLi2Oの間のレドックス反応を抽出した形の電極反応を可能にする物質として,これまでにCoをドープしたLi2O中で酸化物イオンと過酸化物イオンのレドックスが起こることが知られていたが,FeやCuをドープした酸化リチウムでも同様な反応が進行することを明らかにした.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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