研究課題
本研究では、従来の集光型太陽電池では活用できない散乱日射をも発電に活用できる新たな集光型太陽電池の集光技術を確立し、これまで集光型に不利とされてきた非サンベルト地域において変換効率を最大化する太陽光発電の実現を目指すものである。集光型太陽電池とは、樹脂などの安価な材料で作ったレンズを用いて、太陽光を小面積の高効率且つ高価な太陽電池に集光することにより発電する技術であり、モジュール変換効率として36%を超える報告がなされている。しかし、この変換効率は、レンズで集めることができる直達日射量を基準としており、日本のように全天日射量の約4割を散乱日射量が占める非サンベルト地域では優位性が低くなるという課題があった。そこで本研究では、高倍率集光系において散乱日射を低コスト太陽電池で捕集するという新たな形態・コンセプトを提案し、実験等によりその有効性を実証することを目的とした。まず、非サンベルト地域における日射特性をスカイスキャナーを用いて観測・把握することにより、どの方向からどれくらいの日射が入射されるのかを明らかにした。次に、この日射特性に基づいて、集光光学系を設計し、試作モジュールを製作し、実験検証を行った。最終年度であるH28年度は、これまでの結果に基づいて、モジュール構造を見直し、最適化することにより光学的損失のさらなる低減(=高効率化)を図った。結果として、屋外実験において従来の集光型太陽電池の約1.5~2倍(非サンベルト地域の日射条件下)を達成し、当初に掲げた目標値をクリアすることができた。さらに、発電モジュールの低コスト化に向けた方策として、メカニカルスタック多接合太陽電池の試作設計を行い、集光条件下での発電特性を明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Progress in Photovoltaics, Research and Application
巻: 7 ページ: 1,9
10.1002/pip.2856