研究実績の概要 |
1.各種セグメント素子の作製と評価 前年度まででSn系とGe系クラスレート化合物を用いた2段セグメント素子についてはおよそ完成させた。今年度ではそのN脚とP脚の両方について熱電性能の調整まで済ませた。また,その2段素子にSi系クラスレートを加えた3段素子の作製も試みた。熱電性能の調整までは達成できていないが,いくつかの作製条件の検討により機械的に強固に接合された3段素子を得た。 2.熱電発電モジュールの作製と評価 前年度に引き続き,産業技術総合研究所つくばの協力を得て,熱電発電モジュールの作製と評価を行った。Sn系とGe系のクラスレート化合物を用いた2段のセグメント型モジュールにて,温度差670 Kのとき,最大変換効率9.8 %を得た。これにより当初の目標を達成した。 3.クラスレート化合物の高性能化 前年度までの研究によりSn系のタイプ2クラスレート化合物は非常に有望な熱電材料であることがわかった。今年度はその元素置換体などの周辺材料をいくつか検討した。その中で,高温材料としてGe系のタイプ2クラスレート(K,Sr)24(Ga,Ge)136を開発した。この材料は室温キャリア移動度が50 cm2/(V s)という比較的高い値を示した。Ge系のタイプ2クラスレートも有望な材料であると考えられる。また,それ以外のタイプ9クラスレートについても前年度に引き続き検討した。(K,Ba)6(Ga,Sn,Ge)25の最小格子熱伝導率は6 mW/(cm K)で,最大無次元性能指数は0.40 (680 K)であった。
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