研究課題
今年度は 数操作に関して頭頂葉の細胞活動を主に解析した。数操作の対象を0から5まで解析すると、ゼロに対する応答性が最も高い細胞が予想以上に多く見つかった。他の数1-から5までの数と違い、数の選択性の高い ゼロだけに応じる細胞と 0で最大応答だが1にも次いで応じる細胞と二種類に分類された。ゼロに応じる細胞は2種類に分かれることでゼロの他の数との近接性や 特異性が判明した。連続的な変化を示すゼロ細胞はナンバーライン上の1に近い数にも近さに応じては応答が減少した。このことはゼロが数の順序性の中できちんと位置していることを示している。一方でゼロ特的な細胞は、ゼロが数の連続性以外に 有無を表す特別な意義があることを示唆していた。 このことは行動経済学において 金額が一円違いであっても、ゼロすなわちフリー(無料)になると途端に選択する確率が増える傾向をよく説明する。すなわち、有無という点で ゼロは特別な意味をもち、行動を変えてしまう。しかし実際に2種のゼロ細胞が有ることから、このお湯な順序化された数としてのゼロと 有無のゼロが異なる行動に結びついても不思議がないと思われた。行動経済学の不合理な行動は神経科学としては十分に理解可能な行動といえる。今回のゼロ細胞の発見はその神経基盤を与えている。この成果はプレスリリースされた。サルは数字をシンボルとしては使わないが、数の概念としてはヒトのもつゼロの概念とかなり近い神経表現を持っている事になる。このことはたいへん反響があり、河北 日経、読売等の新聞で取り上げられた。
1: 当初の計画以上に進展している
今年度は 数操作に関して頭頂葉にゼロに対する応答性が最も高い細胞が予想以上に多く発見できた。しかも数の選択性の高い ゼロだけに応じる細胞と 0で最大応答だが1にも次いで応じる細胞と二種類を分けられた。ゼロ細胞の行動経済学においての意義を考察してプレスリリースで新聞等で反響を得たことは予想以上であった。
引き続き前頭葉と頭頂葉からの細胞活動記録と解析を進めて、数操作の神経機構を明らかにしていきたい。演算操作に関しては 前頭葉側と頭頂葉側で神経活動の違いが予想され、その点で 比較を定量的に行って行くようにする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Stem Cells
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http://www.neurophysiology.med.tohoku.ac.jp/