研究課題
RP58のATG上流にFAST配列(Stop配列含有)を挿入して、そのマウスを交配して、FAST配列をホモにしたところ、RP58の転写量が1/3に減少した。離乳後、体重は1/3に減少し、死亡した。しかし、練り餌により、生存し、体重も正常の1/2程度まで回復した。ケージ内で明らかな多動を示し、上方を向いて手を揉むような異常行動をしめす個体も見られた。2ヶ月以降異常行動も減少した。しかし、興味深いことに、3ヶ月以降異常行動のほか、歩行障害が目立ちはじめた。従って、本マウスは、知的発達障害と加齢性脳障害を結ぶモデルマウスとして、有用であると考えられる。さらに、Stop配列を除き、TetO配列マウスにCamKII-tTSマウスを交配することによってRP58の転写を抑制したところ、予備的実験により、オープンフィールドで多動、作業記憶低下傾向を示した。また、RP58の機能発現メカニズムを解明するためにRP58と結合する因子の同定を試みた。RP58の特異抗体を用いた免疫沈降実験では、MS解析によりDnmt3aは検出されず、代わりにCtBPなど多数の候補蛋白が同定された。Ctbp1は種々のクロマチンリモデリング酵素と結合することが知られている。従ってRP58の転写抑制活性がDnmt3aではなく、CtBP1を介して発現している可能性がある。今後、Ctbp1の結合予測部位を変異させたRP58で、大脳皮質放射状移動のレスキュウ実験により、RP58がCtbp1と結合することの重要性を検討する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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