研究課題
分界条床核は、内側前頭前野、海馬台、扁桃体、腕傍核などから入力を受け、様々な情報を統合し、情動や摂食、内分泌などの機能調節に重要な役割を果たしている。これまでの研究において、扁桃体から分界条床核に投射する神経路の活性化が不安情動を亢進させることを明らかにしてきた。本年度の研究では、神経細胞活性化マーカーであるc-Fos発現を指標とした組織学的解析により、本神経路における情報伝達に神経ペプチドであるCRFが関与していることを明らかにした。また、本神経路とは逆の分界条床核から扁桃体に投射する神経路の活性化が情動に及ぼす影響について、光遺伝学的手法を用いた行動解析により、分界条床核から扁桃体に投射する神経路の活性化によっても不安情動が亢進することを明らかにした。また、慢性疼痛モデル動物における分界条床核内神経情報伝達の可塑的変化のメカニズムに関する研究では、平成27年度の研究により、健常動物に比較し慢性疼痛モデル動物では、腹側被蓋野に投射する分界条床核神経細胞における自発性IPSCが増強していることを見いだしていたが、本年度に行った脳スライスパッチクランプ法を用いた電気生理学的解析により、慢性疼痛モデル動物では、視床下部外側核に投射する分界条床核神経細胞においても自発性IPSCが増強していることを明らかにした。さらに、これらのIPSC増強には、分界条床核内CRF神経情報伝達の亢進が関与していることを示唆するデータを得ている。以上の研究成果は、不安などの負情動生成の神経機構解明に貢献するとともに、不安障害やうつ病などの精神疾患の脳内メカニズム解明につながることが期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neuropharmacology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.neuropharm.2017.03.008.
Eur. J. Neurosci.
巻: 44 ページ: 2914-2924
10.1111/ejn.13419.
http://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakuri/index.html