研究課題/領域番号 |
26290022
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
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研究分担者 |
椎野 顯彦 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 准教授 (50215935)
田口 弘康 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 特任教授 (90102912)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / 核磁気共鳴画像 / 診断 / 治療 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
本研究では、Shiga-Y5とその誘導体を利用して、Aβオリゴマーを標的にした診断・治療薬を開発することである。平成26年度は、アルツハイマー病の遺伝子改変モデルマウスを用いた治療効果の検証実験を行った。比較的高い脳移行率を示すクルクミン誘導体(Shiga-Y5)と脳にはいらない誘導体(Shiga-Y6)を餌に混ぜて、APP/PS1ダブルトランスジェニックマウスおよびWildマウスへ投与したのち、Water MazeテストやY迷路テストを行い、認知機能の測定を行うとともに、脳内のアミロイドペプチドの量を測定した。その結果、脳に入るShiga-Y5は認知機能の低下を防止した(p < 0.05)。しかし、クルクミンや脳に入らないShiga-Y6では効果が認められなかった。さらにShiga-Y5投与マウスでは、脳内の不溶性Aβ42量とAβ40量が有意に低下した。以上の結果は、クルクミン誘導体は脳に入ることで抗認知機能効果を発揮していることを示している。本研究の成果を国際学術誌Neurobiology of Agingに発表するとともに、2014年11月に米国ワシントンDCで開催された北米神経科学会議(Neuro2014)など国内外の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Shiga-Y5とその誘導体(本年度、Shiga-Y5は日本国内特許ならびに米国特許を取得した)を利用して、Aβオリゴマーを標的にした診断・治療薬を開発することである。我々が開発したShiga-Y5は、ベータアミロイドオルゴマーに結合する性質をもつ。Shiga-Y5をアルツハイマー病遺伝子改変マウスに経口投与したところ、認知機能低下を防止し、脳内のベータアミロイド凝集体を低下させることを見いだして国際学術誌に論文発表した。このことは、Shiga-Y5がベータアミロイドオルゴマーを標的にした治療薬になる可能性を示している。これらの成果をNeurobiology of Agingなど5本の国際学術誌に発表した。さらに、2014年11月に米国ワシントンDCで開催された北米神経科学会議(Neuro2014)など国内外の学会で発表した。以上のことから、研究は、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、Aβオリゴマーを標的にした画像診断薬の開発をすすめるとともに、動物モデルで治療効果を示したShiga-Y5の作用メカニズムを明らかにする。さらに、Shiga-Y5のみならずその他のクルクミン誘導体(Shiga-Yシリーズ)についても治療効果を検証する。診断薬開発の分野では、Aβオリゴマーの画像化や体外診断薬の開発研究に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の試薬(抗体)が国内在庫がなくなり、国外輸入になったため、平成26年度内の納入、支払いができなかったことなどの理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
輸入の試薬は、平成27年4月中にすべて納入される予定で有り、次年度使用額はこの費用にあてる。計画が1月ほどおくれたが、試薬が届き次第に研究を再開するので、全体の計画遂行に問題はない。
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