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2014 年度 実績報告書

社会的隔離動物の大脳皮質回路形成の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26290025
研究機関横浜市立大学

研究代表者

高橋 琢哉  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20423824)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会的隔離 / アクチン / cofilin
研究実績の概要

本研究においては「社会的隔離動物の内側前頭前皮質のスパインにおいてアクチンの流動性が低下している」という現象をまず検証した。Green Fluorescent Protein(GFP)のタグをつけたアクチンを発現させ、光褪色後蛍光回復法(Fluorescence Recovery After Photobleaching:FRAP)を用いて観察した。FRAP実験においてはスパインに二光子顕微鏡を用いてレーザー光を照射し、スパインにおけるGFP-actinの蛍光を消失させる。GFP-actinがダイナミックな動態を有していれば、消失した蛍光が回復する。我々は、正常動物と比べると社会的隔離動物では、内側前頭前皮質のスパインにおいて消失した蛍光の回復が低下していることを見出した。このことは社会的隔離動物の内側前頭前皮質のスパインにおいてはアクチンの流動性が低下していることを示唆している。
本実験は生後7日から11日まで一日6時間社会的隔離を施し、生後30日齢で解析している。さらに、このアクチンの動態の低下がglucocorticoid活性に依存していることを示すために、glucocorticoid受容体のantagonistであるRU486を社会的隔離期間中に投与し、生後30日齢での内側前頭前皮質のスパインにおけるFRAP実験を行った。その結果、消失した蛍光の回復は正常動物と差がなかった。このことは社会的隔離によるアクチンの動態の低下が社会的隔離期間中におけるglucocorticoid受容体の活性化依存的であることを示唆している。
さらに、アクチンの動態を制御しているタンパク質であるcofilinの活性を内側前頭前皮質において調べた不活性化していることを見出した。また、社会的隔離動物のアクチン流動性低下がcofilinのconstitutive active体の発現により抑制させることも示した。さらに、社会的隔離動物の内側前頭前野においてAMPA受容体シナプス移行がcofilin不活性化依存的に起きていることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的であった、「社会的隔離によるアクチンの動態の低下が社会的隔離期間中におけるglucocorticoid受容体の活性化依存的であること」、「社会的隔離動物の内側前頭前皮質においてはcofilinが不活性化していること」、「社会的隔離動物のアクチン流動性低下がcofilinのconstitutive active体の発現により抑制させること」、「社会的隔離動物の内側前頭前野においてAMPA受容体シナプス移行がcofilin不活性化依存的に起きていること」を示している。したがって、概ね順調であると考える。

今後の研究の推進方策

今後は社会的隔離動物の内側前頭前野におけるアクチンの流動性の低下がAMPA受容体シナプス移行阻害を仲介しているか否かを検討する。
申請者は社会的隔離によるアクチンの流動性の低下とAMPA受容体シナプス移行阻害の因果関係を検討するため、社会的隔離動物から作製した急性スライスの内側前頭前野においてchemical LTPを誘導する。AMPA受容体のスパイン表面提示はGFPのpH sensitive derivative (super ecliptic phluorin:SEP)のタグのついたAMPA受容体をin utero electroporationにより内側前頭前野に発現させて、観察する。SEP-AMPA受容体(今回はGluA1を用いる)は細胞表面に提示されると明るく蛍光し、detectできる。Chemical LTPによりスパイン表面のGluA1は増加する。申請者はin utero electroporationにより、RFP-actinおよびSEP-GluA1を内側前頭前野に共発現させ、社会的隔離を施す。生後30日齢で内側前頭前野のスパインにおいてFRAPをRFPに対して行い、chemical LTPを誘導して、SEP-GluA1の増加率とアクチンの流動性の低下の相関を調べる。

備考

横浜市立大学医学部生理学教室ホームページ
http://neurosci.med.yokohama-cu.ac.jp

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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