研究課題
社会的隔離された動物の内側前頭前野(medial prefrontal cortex; mPFC)ではLIMK-Cofilinのリン酸化亢進によりスパイン内部のアクチンの流動性が低下し、AMPA受容体シナプス移行性阻害が見られ、またそれに伴い攻撃性が高まることをこれまで明らかにしてきた。当該年度はcofilinの恒常的活性化型であるS3Aをレンチウィルスを用いmPFCに発現させ、FRAP解析、電気生理学的解析、行動試験を行った。S3Aを導入した社会的隔離動物では、mPFCのシナプス内アクチン流動性およびAMPA受容体シナプス移行性が回復し、攻撃性が正常化した。また社会的隔離によるアクチン流動性低下とAMPA受容体シナプス移行阻害の因果関係を明らかにするために、pH感受性のGFP変異体を付加したAMPA受容体(今回はGluA1を用いた)であるSEP-GluA1とtdTomato-アクチンをmPFCに共発現させた動物を用いて解析を行った。急性スライスを作製し、tdTomatoに対するFRAP解析によりアクチン流動性を評価し、その後chemical LTPによる同一スパインでのGluA1へのシナプス移行性を観察した。SEP-GluA1の増加率とアクチン流動性の相関解析を行った結果、社会的隔離によるスパイン内アクチン流動性の低下に相関して、GluA1のシナプスへの移行性が阻害されていることが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 113 ページ: E7097-E7105
10.1073/pnas.1606351113