研究課題/領域番号 |
26290030
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
依馬 正次 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (60359578)
|
研究分担者 |
三輪 佳宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70263845)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 動物 / 腫瘍 / 発生 |
研究実績の概要 |
1)研究項目1:新規血管新生可視化モデルマウスの樹立 近年血管内皮細胞のライブイメージングに対する要望が大きいが、GFPやdsRedに対して励起光を当てることで、光毒性が生じ、12時間以上のライブイメージングが困難な状況である。そこで、より良いモデルマウスを作製するために、大阪大の永井教授によって開発されたLuciferase-Venus融合遺伝子(NanoLantern)を用いた。このレポーター遺伝子はセレンテラジンの投与によってLuciferaseが発光し、Venusを励起するため、光励起を必要とせず、光毒性が生じない特長がある。H26年度に4ラインを樹立したが、H27年度には胎児におけるVenusの発現を詳細に調べ、内在性Flk1の発現を再現するラインを決定することが出来た。さらにLLC(ルイス肺がん)細胞を移植し、腫瘍血管内皮細胞で蛍光を発することも確認した。重要な事に、セレンテラジンの投与によって腫瘍血管が発光することも検出することが出来た。 2)研究項目2:血管新生における新規遺伝子の役割 新規血管内皮細胞特異的遺伝子であるLrrc33遺伝子のノックアウトマウスを作製したところ、viableであったため、LLC細胞を移植し、腫瘍血管新生における役割を評価した。腫瘍サイズはLrrc33ノックアウトマウスにおいて有意に低下していた。興味深いことに、腫瘍血管の密度の上昇、腫瘍血管径の増加が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Flk1-NanoLantern BAC Tgマウスのライン化に成功し、内在性Flk1の発現を再現できることを確認出来た。さらに、腫瘍血管新生時に、光励起無しに発光することを確認した。現在論文投稿中であることから、順調である。 Lrrc33ノックアウトマウスにLLC細胞を移植し、腫瘍血管新生における役割を評価した。腫瘍サイズはLrrc33ノックアウトマウスにおいて有意に低下しており、腫瘍血管の密度の上昇、腫瘍血管径の増加が認められた。このように順調に進行した。
|
今後の研究の推進方策 |
1)研究項目1:新規血管新生可視化モデルマウスの樹立 今後Flk1-NanoLantern BAC Tgマウスについては、抗血管新生抑制剤のスクリーニングに使用できるかどうか検討する。
2)研究項目2:血管新生における新規遺伝子の役割 Lrrc33遺伝子については、血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスを作製する。その後、LLC細胞を移植し、腫瘍血管新生における役割を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
Flt1-Nanolantern (RFP) BAC Tgマウスの作製にあたって、ベクターの構築が順調にいかなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は速やかにベクターの構築を行う。その後受精卵にインジェクションし、ラインの選定をおこなっていく予定である。
|