研究課題/領域番号 |
26290033
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 知士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397554)
|
研究分担者 |
金子 武人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30332878)
夘野 善弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (80252683)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ゲノム編集 / ラット / 遺伝子 / 脳神経疾患 / 実験動物 |
研究実績の概要 |
本研究では、CRISPRを用いた実験用ラットにおける新しいゲノム編集基盤技術の開発を目指している。平成26年度は、1)ノックアウト、2)SNP置換、十数塩基挿入ノックイン、3)大規模領域欠失を行った(Yoshimi et al. Nat Commun 2014)。平成27年度は、4)長鎖一本鎖DNA(lssDNA)によるGFPノックイン、5)2ヒット2オリゴ法(2H2OP)による大きなサイズのプラスミドおよびBAC(200K-bp)ノックインに成功した(Yoshimi et al. Nat Commun 2016)。 平成28年度は、6)二つのgRNAと長鎖一本鎖のlssDNAを利用して、2箇所に同時にloxP配列をラット受精卵にノックインすることに成功した。マイクロインジェクションの代わりにエレクトロポレーションを利用することで、簡便に、効率的にコンディショナルラットを作製することができるCLICK:CRISPR with lssDNA inducing conditional knockout allelesを開発した。また、7)昨年度に開発した2H2OP を利用することで、ラットRosa遺伝子座にGFP-DsRedをノックインした、蛍光蛋白発現レポーターラットの作製を行った。 これまでの研究成果は、論文として取りまとめて、現在投稿中である。また、関連する研究内容を査読付き英文論文6編、図書4編に取りまとめた。CLICK法については特許出願を行った。その他、招待講演等として国際1回、国内14回の講演を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットにおけるゲノム編集基盤技術として、平成26年度にCRISPR/Cas9を利用したノックアウト、および一本鎖DNA(ssODN)によるノックイン技術の開発を行った。平成27年度は、さらに大きなサイズの染色体領域をノックインするため、lssDNA法と2H2OP法の開発を行った。平成28年度は、lssDNAを利用して効率的にfloxラットを作製するCLICK法を新たに開発し、2H2OP法を利用してin vivoゲノム編集に用いるための蛍光レポーターラットの作製を行った。 以上のことから、平成28年度開始当初の研究計画に一部の変更はあったものの、おおむね順調に進展していると自己評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、CRISPRを用いた実験用ラットにおける新しいゲノム編集基盤技術の開発を目指している。平成26年度、CRISPR/Cas技術により、1)ラット遺伝子ノックアウト、2)一数塩変異置換、十数塩基挿入ノックイン、3)大規模染色体領域(9K-bp)欠失によるノックアウト、平成27年度は、4)ラット遺伝子下流にGFP遺伝子(1K-bp)ノックイン、5)ヒト遺伝子ゲノム領域(200K-bp)ノックイン、およびヒト遺伝子置換、平成28年度は、6)コンディショナルラットを効率的に作製するCLICK法、7)2H2OP法を利用して蛍光蛋白レポーターラットの作製を行った。 平成29年度は、8)ラット個体におけるin vivoゲノム編集技術の開発を行う目的で、尾静脈からアデノ随伴ウイルスAAVベクターによるin vivoゲノム編集を実施する。FACSによるGFP発現解析、Surveyorアッセイ、シークエンス法により、ゲノム編集効率を評価する。最終的に、9)これまでに開発してきたラットゲノム編集技術を用いて、新規パーキンソン病モデルラットの開発を目指す。 変更なし
|
次年度使用額が生じた理由 |
受託していた生成物品の納品が遅延したため残額が発生した。 研究は予定通り進んだが、より発展させるため、次年度の予算と合算して執行する。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究目的の達成のため、試薬等の物品購入する。
|