研究課題
NOGマウスにおいて抗原特異的IgE反応を誘導するため以下のプロジェクトを行っている。①NOGマウスに欠損するリンパ節の再構築:リンパ節起始細胞(LTi)の分化を調節する ROR-gt遺伝子の下流にgc遺伝子を配置したBACトランスジェニックマウスを作製した。ヒト造血幹細胞の移植により著明な腸管リンパ節の肥大が認められ、T細胞数の増加が確認された。また、腸管リンパ節に存在する一部のB細胞の成熟が認められた。②FDCとヒトB細胞の相互作用の回復:FDCが産生するCXCL13ケモカイン遺伝子をヒトホモログに置換したBACトランスジェニックマウスを作製した。ヒト造血幹細胞の移植を行ったところ、T細胞の分化効率が低下しており、B細胞の成熟も促進されていないことが確認された。③IL-7Tgマウスの作製:ヒトT細胞の恒常性を維持する目的でヒトIL-7を発現するNOGマウスを作製した。ヒト造血幹細胞移植によりヒト化は確認できたが、T細胞の発生分化に対しては影響が認められなかった。④ヒトTSLP-IL-13 Tgマウスの作製:Th2反応とクラススイッチ反応の促進を目的として作製を行った。ヒト造血幹細胞の移植後、一部個体において血清中にヒトIgEの存在を確認できた。
3: やや遅れている
ヒトTSLP-IL-13Tgマウスの作製により血中にヒトIgEの産生が認められる個体が現れたことでアレルギーの基本反応がヒト化マウス生体内で成立しうることは確認できたが、ヒトTSLPによる副作用と考えられるマウスの胸腺腫が多発し、安定した実験ができなかった。また、CXCL13TgマウスにおいてB細胞とFDCの相互作用によりB細胞ニッチが構築されて分化亢進を促すと考えられたが、T細胞の分化の低下とともにB細胞の分化が促進されない結果となった。
TSLP-IL-13Tgマウスで発症する胸腺腫を解決するためにマウスIL-7Ra遺伝子を遺伝子編集技術で破壊したマウスを作製済みであるのでこれらを交配する。得られたマウスをもとにIgEの産生について確認するとともにHLATgマウスとの交配を行う。食物アレルギーをモデル化するために、ヒト化IL-3/GM-CSFTg NOGマウスに抗BLG-IgEヒト型抗体を投与した後にBLG抗原を摂餌させ、受動型アレルギー反応を誘導する研究を行う。抗体についてはオランダの共同研究グループから提供を受ける。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Journal of Immunology
巻: 194 ページ: 3513,3525
10.4049/jimmunol.1401323
PLOS One
巻: 10
10.1371/journal.pone.0144775
アレルギーの臨床
巻: 478 ページ: 1164,1168