研究課題/領域番号 |
26290051
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 元 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80236017)
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研究分担者 |
村手 隆 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30239537)
西田 篤司 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80130029)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺がん / セラミド / 転移 / 抗癌剤 |
研究実績の概要 |
1. CerS6による転移促進機序を分子レベルで明らかにする。セラミドをハブとするスフィンゴ脂質代謝産物の網羅的定量方法を確立する(鈴木)。 この目標に対して、既に定量が確立していたセラミドにつき、平成27年度予定の「活性が高いと考えられる経路について、代謝酵素遺伝子ノックダウンおよび過剰発現により、転移能を中心とした表現型を解析する。また、mouse 転移モデル等による転移能、あるいは病理像の変化を調べ、各種スフィンゴ脂質と転移能とのかかわりを明らかにする」実験を前倒しして実施したところ。CerS6の代謝産物であるC16セラミドにより、キナーゼζが活性化され、それが細胞のラメリポディア形成を促進することにより細胞移動度および転移を促進する機序が明らかとなった。 2. 癌転移抑制薬応用を目指し、CerS6阻害剤を開発する。2000種からなる低分子化合物ライブラリー(西田)を用いてスクリーニングを行う。新規開発のポジティブスクリーニング法に、古典的な生化学的方法を併用し、平成26年度中に1400種完了した。 千葉大学低分子化合物ライブラリーのスクリーニングを完了し、平成27年度実施予定であった至適化作業を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1. CerS6による転移促進機序を分子レベルで明らかにする 27年度の実施計画を前倒しして実験を行った。研究実績の概要に記載した通り、転移促進機序の解明がなされた。当初の計画以上に進展している。 2. 癌転移抑制薬応用を目指し、CerS6阻害剤を開発する。 千葉大学の低分子化合物ライブラリーのスクリーニングを終了し、平成27年度開始予定の最適化作業を前倒しして実施した。当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.CerS6による転移促進機序を分子レベルで明らかにする。この点については既にメカニズムを明らかにしたが、細胞内では複数の経路が表現型に関与していることも多い。27年度はrhoなど、新規経路について研究を行うとともに、MS解析も規模を縮小して実施する(鈴木、村手)。 2. 癌転移抑制薬応用を目指し、CerS6阻害剤を開発する。引き続き新たなライブラリーを入手してスクリーニングを継続するとともに、有望な化合物に対する最適化の作業を開始する(西田)。 3. セラミドホメオスタシスに注目したアプローチから抗腫瘍薬スクリーニングを行う。肺癌細胞が、一旦アポトーシス中間体であるセラミドを大量に産生し、下流物質に転換して癌特性を獲得しているという代謝特性(セラミドホメオスタシス)を利用する。我々は既にセラミド前駆体DMPCを含むリポソームに抗腫瘍効果があることを示している。27年度は、各種セラミド代謝経路の系統的阻害剤を用いて、セラミド濃度上昇とアポトーシスをきたす化合物の系統的スクリーンを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成の都合上、一部研究を先倒しして実施した。そのため、平成26年度実施予定のMS解析研究の一部を27年度に持ち越したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は各種スフィンゴ脂質をMSにて定量するために使用する。標準物質購入、機器使用料、サンプル調整量及び必要機材の購入に使用する。
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