研究課題
肺癌は年間死亡者数が癌腫の中で一位であり、発癌過程の解明、予防、治療法の開発が強く望まれている。我々は、臨床検体と培養細胞双方から肺癌の組織型特徴的な遺伝子発現プロファイルに注目することから、肺癌発生と悪性化、転移に関係する遺伝子や経路を単離してきた。本研究において、我々は新規に発見したEGFR→CerS6→転移経路を明らかにするための研究を行った。1. CERS6による転移促進機序に関して。RhoA-Cを介する機序について研究を進めた。興味深いことに、3種類のRhoファミリータンパク中で、RhoAたんぱく質が、CERS6ノックダウン時にアクチンストレスファイバーと共局在を示した。また、CERS6の下流に存在するaPKCファミリー群とは独立した経路でアクチンタンパク質の再構成が推進されている可能性が示唆された。2. 基礎研究の臨床応用を目指し、より簡便に多くのスフィンゴ脂質代謝産物を一度に定量するシステム開発を行った。これにより、各種スフィンゴ脂質の網羅的定量が可能となった。スフィンゴ脂質の上流にあるリン脂質もまた、CERS6に基質を提供するという役割を担うことでがん病態に関与する。下流解析と異なり、上流解析においては単純なノックダウン実験でその役割を判定できない。この点を克服し、生理活性脂質の観点から、転移阻害を理解するため、リン脂質に対してもMSチャンネルを設定し、スフィンゴ脂質、低分子量糖脂質と合わせて、数例の臨床検体を用いて脂質解析を実施した。特定の脂質群ががん組織ではup regulateされていることが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncogene
巻: 未定 ページ: 未定
10.1038/s41388-019-0785-7
Biochem Biophys Rep
巻: 15 ページ: 69-78
10.1016/j.bbrep.2018.07.001