研究課題/領域番号 |
26290052
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 浩司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70422318)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子標的治療 / ペプチド創薬 / ハイブリッドペプチド / 難治性癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、当研究室で生み出された全化学合成可能な革新的分子標的抗癌剤候補であるハイブリッドペプチド技術を用いて、難治性癌の一つである悪性脳腫瘍の新規治療法の可能性を提示することを目的としている。平成26年度は、主に下記の研究内容を行った。 (1)T7ランダムペプチドライブラリーを用いてIL13R alpha2タンパク質に特異的に結合するいくつかの陽性クローンを確認した。これら陽性クローンのうち、IL13R alpha1と2の選択性が高く、IL13R alpha2特異性や結合力の強いものをELISA法およびBiacoreを用いたリアルタイム測定法により確認した後、標的部分として最適なペプチドの選択を行った。 (2)Hsp90標的化ハイブリッドペプチドおよびHsp70標的化ペプチドとのグリオ―マ細胞株に対する殺細胞効果の相乗効果を検討した。 (3)相乗効果が確認されたグリオ―マ細胞株に対してin vivoにおける抗腫瘍効果の増強が得られるかどうかの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度の研究計画の内容に関して、予定していたIL13R alpha2標的ペプチドの陽性クローン取得および弾頭部分の候補ペプチドの選定を行うことができた。また、Hsp90標的およびHsp70標的化ペプチドを用いた、in vitroにおける殺細胞効果の検討もすでに終了しているため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、H26年度で選択されたIL13R alpha2標的ペプチドを弾頭部分に用いた、各種ハイブリッドペプチドを作成し、グリオ―マ細胞株に対する殺細胞効果の検討、ならびに、一細胞発光リアルタイムモニタリングによる殺細胞効果のメカニズム解析および抗腫瘍効果を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に予定していた標的化ペプチドの選定にかかる実験費用が当初想定していたよりも抑えられたこと、また、殺細胞効果、抗腫瘍効果を行うために必要な細胞培養、および動物実験の購入および保守費用等を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
ハイブリッドペプチド合成費用、グリオーマ細胞に対する殺細胞効果のメカニズム解析に必要となる一細胞発光リアルタイムモニタリング測定を行う際に必要不可欠な発光実験用試薬類、動物実験のための動物購入、保守費用等、さらには、癌細胞培養時に必要となる培養関連試薬類および、その他、研究成果発表、報告(学会含む)のための費用等を予定している。
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