研究課題
Ras-ERKシグナル伝達系の破綻は様々な腫瘍の発生に関与しており、このシグナル伝達系を標的とする分子標的薬も開発されつつある。しかしながら、分子標的薬の単剤投与による効果は遺伝子の変異に大きく依存し、かつ内因的・獲得的な薬剤耐性の問題もあいまって、効果的な抗癌戦略を打ち出せない状況である。そこで本研究では、Ras-ERKシグナル伝達の中でもKRas遺伝子、またはBRaf遺伝子変異をもつ癌細胞に対して効果の高い分子標的薬の組み合わせとその分子機構をイメージング、数理モデルにより定量的に示すことを目的とした。本年度はERK活性とAkt活性を生細胞で同時に可視化するための手法を開発した。これは、ERK活性とAkt活性により細胞内の局在が変化するタイプの蛍光プローブを開発し、P2Aペプチドでつなげることで、1つのプラスミドでERK活性、Akt活性、細胞周期、細胞核の4つの情報を多重可視化するためのプラスミドを作製した。さらに、ERKとAkt活性は細胞周期に少なからず影響を受けていることを明らかにした。この結果はCell Struct Funct誌に発表した。さらに4つの細胞周期をそれぞれ区別するための細胞周期マーカーを加えて、細胞周期のどのタイミングでERKやAktがどのように活性化するのか解析した。その結果、ERKはG1/S期、AktはG2/M期の進行にそれぞれかかわっていることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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