研究課題
がん患者の急速な増加と高齢化に伴い、より浸襲性の少ないがん治療が望まれている。また、医療費の高騰を抑制するためにも、コスト的にも有利ながん治療が期待される。その両面から放射線治療の適応は急激に高まっている。近年、光子線は局所制御を高め、隣接正常臓器への過照射を避けるため、強度変調放射線治療(IMRT)や低位放射線照射が急速に普及してきている。更に、炭素イオン線や陽子線といった粒子線を用いた放射線治療により、今まで治療成績が不良であった腫瘍に対しても、良好な治療成績が得られている。しかし、外科、化学療法を含む集学的な局所療法の進歩で、良好な局所制御がなされるようになっている現在においても、今なおがんの遠隔転移は最大の課題である。がん転移の有無は生存率に大きく影響し、がん患者の予後に関わる。よって、初期治療からの放射線治療においても転移予防を視野に入れる必要がある。本研究により、すい臓がんにおいて、生存、転移に関わるとされるCD44の発現がX線線量の増加に伴い、増加することが示された。CD44には、様々なバリアントとよばれる変異体が存在することが知られているが、X線で発現が増加したものは、CD44sと呼ばれる標準型であった。また、このCD44sをノックダウン(mRNAの発現を一時的に抑制)させると細胞の放射線感受性が高まり、殺細胞効果が増強し、さらにがん転移能に関連するとされる上皮間葉転換のマーカーも減少した。よって、これらの成果から、すい臓がんにおいてのCD44sの発現の有無は、放射線治療の効果予測ならびに放射線誘発性がん転移の発生予測として有用であることが示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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