• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

臨床試験実施へ向けたiPS-MLを用いたがん治療法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 26290057
研究機関熊本大学

研究代表者

千住 覚  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (50274709)

研究分担者 植村 靖史  独立行政法人国立がん研究センター, 早期・探索臨床研究センター, ユニット長 (40364781)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードがん治療 / 免疫細胞療法 / マクロファージ / インターフェロン / 樹状細胞 / 腹膜播種 / 胃癌 / 膵臓癌
研究実績の概要

一般に、固形癌の組織中には、マクロファージを始めとするミエロイド系免疫細胞の浸潤が認められる。ヒトのiPS細胞から増殖能力を有するミエロイド系細胞(iPS-ML)を作製する方法を開発している。この方法により、生理的なヒトのマクロファージに近い性質を有する細胞の大量生産が世界で初めて可能となった。本研究は、この技術を、がん治療へ応用する事を目的としている。
iPS-MLは、M-CSFの存在化で長期間増殖する一方、IL-4を添加して培養すると数日で樹状細胞に分化する性質を有している。また、scidマウス腹腔内にヒトの胃癌あるいは膵臓癌細胞を生着させた腹膜播種癌モデルにおいて、iPS-MLを腹腔内投与すると腫瘍組織内への集積と浸潤が認められる。さらに、IFN-βを発現させたiPS-MLの投与により、scidマウス腹腔内に生着したヒト腫瘍に対する治療効果を認めた。以上の研究成果に基づき、iPS-MLおよびiPS-ML由来の樹状細胞を用いて、難治性癌の代表である胃癌腹膜播種と膵臓癌に対する治療法の開発をめざし、基礎的な検討を行なっている。
また、マウスの多能性幹細胞に由来する増殖性ミエロイド細胞に由来する樹状細胞(マウスES-ML-DC)の特性解析、および、ES-ML-DCによる能動免疫法によるがん治療についての検討も行なっている。マウスの担癌モデルを用いて、ES-ML-DCによる細胞ワクチンが有効であるという結果も得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IPS-ML作成技術の改良、動物モデルを用いた薬効薬理解析、造腫瘍性の検討等を行い、概ね予定した通りの成果を挙げる事ができた。

今後の研究の推進方策

iPS-MLをエフェクターとするがん治療の実用化へ向けて、開発を加速させて行きたいと考えている。研究代表者らは、「医薬品医療機器法」における再生医療等製品として承認を得る事を目指しており、安全性と薬効を確認するための非臨床試験の実施、および、細胞製造抗工程の改良と確立等の課題に取組まなければならない。

次年度使用額が生じた理由

開発研究を継続して実施する必要がある。

次年度使用額の使用計画

マウスを用いた薬効薬理解析等によりさらなるPOC(Prooof of Concept)を得るよう開発を進める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Therapy of peritoneally disseminated colon cancer by TAP-deficient ES cell-derived macrophages in allogeneic recipients.2014

    • 著者名/発表者名
      Haga, E., Endo, Y., Haruta, M., Koba, C., Matsumura, K., Takamatsu, K., Ikeda, T., Nishimura, Y., and Senju, S.
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology

      巻: 193 ページ: 2024-2033

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1303473.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Degradation of amyloid beta by human induced pluripotent stem cell-derived macrophages expressing Neprilysin-2.2014

    • 著者名/発表者名
      Takamatsu, K., Ikeda, T., Haruta, M., Matsumura, K., Ogi, Y., Nakagata, N., Uchino, M., Ando, Y., Nishimura, Y., and Senju, S.
    • 雑誌名

      Stem Cell Research

      巻: 13 ページ: 442-453

    • DOI

      10.1016/j.scr.2014.10.001

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Application of iPS cell-derived macrophages to cancer therapy.2014

    • 著者名/発表者名
      Senju, S., Koba, C., Haruta, M., Matsunaga, Y., Matsumura, K., Haga, E., Sasaki, Y., Ikeda, T., Takamatsu, K., and Nishimura, Y.
    • 雑誌名

      OncoImmunoogy

      巻: 3 ページ: e27927-1-3

    • DOI

      10.4161/onci.27927

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ゼノグラフとモデルにおける胃がん肝転移に対するiPS-MLによる治療の効果2014

    • 著者名/発表者名
      千住覚、匂坂正孝、春田美和、羽賀栄理子、松村桂子、今村悠哉、池田徳典、西村泰治
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2014-09-26 – 2014-09-26
  • [学会発表] 細胞治療に向けた樹状細胞の可能性2014

    • 著者名/発表者名
      千住覚
    • 学会等名
      第42回日本臨床免疫学会総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-25
    • 招待講演
  • [学会発表] iPS細胞を用いた癌に対する免疫細胞療法2014

    • 著者名/発表者名
      千住覚
    • 学会等名
      遺伝子・デリバリー研究会第14回夏期セミナー
    • 発表場所
      阿蘇いこいの村(阿蘇市)
    • 年月日
      2014-08-20 – 2014-08-20
    • 招待講演
  • [学会発表] iPS細胞由来のミエロイド細胞(iPS-ML)によるがん治療2014

    • 著者名/発表者名
      千住覚
    • 学会等名
      第62回日本輸血・細胞治療学会総会
    • 発表場所
      奈良県文化会館(奈良市)
    • 年月日
      2014-05-16 – 2014-05-16
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi