研究課題
(1) 前立腺がんを自然発症するTRAMPマウスモデルにおいて、抗CD40抗体とIL-2/抗IL-2抗体複合体とIL-12Fcの組み合わせによって最も強い抗腫瘍効果が得られることを示した。(2) マウスB16F10メラノーマモデルにおいて、腫瘍局所へのIFN-b投与は、M2マクロファージによるTreg動員を抑制するが、腫瘍内でのPD-1/PD-L1発現も亢進するため、抗PD-1抗体の併用によって相乗的な抗腫瘍効果が得られることを示した。(3) 腫瘍内に浸潤したTregに高発現しているPTENは免疫抑制機能の維持に重要であり、PTEN阻害剤の投与によって、T細胞移入とワクチン療法の効果が著しく高まることを示した。(4) 肝障害を起こさない低用量のDR5に対するアゴニスト抗体を5-FUやCPT-11といった化学療法剤と併用すると腸管幹細胞の障害による毒性が認められるが、CHK2阻害剤の投与によって抗腫瘍効果を損なうことなく腸管障害を緩和しうることを示した。(5) HPV発現マウス腫瘍モデルにおいて、CTLエピトープのDNAワクチン効果を、CD27に対するアゴニスト抗体とPD-1に対する阻害抗体との組み合わせによって、CD4陽性ヘルパーT細胞非依存性に増強しうることを示した。(6) ホジキンリンパ腫やバーキットリンパ腫あるいは成人T細胞白血病 (ATL) 細胞を直接的に傷害するpan-MHCII抗体を樹立した。(7)新規チェックポイント分子VISTAに対する阻害抗体を樹立し、VISTAとCTLA-4のコンビネーション阻害によって、腫瘍内浸潤CD8陽性T細胞の多機能性が強化されることを示した。(8) 種々のマウス皮下腫瘍モデルを比較して、抗PD-1抗体を用いた免疫チェックポイント阻害療法に抵抗性の腫瘍では腫瘍内マクロファージのPD-L1やMHCIIの発現が低いことを見出し、腫瘍抗原の免疫原性によって規定される腫瘍局所での炎症の惹起が抗PD-1抗体治療反応性を決定する重要な因子であることを示した。
3: やや遅れている
がん細胞に免疫原性細胞死を誘導する抗体療法としては、抗DR5抗体と化学療法剤との併用によって腸管障害が起こる機序を解明し、抗腫瘍効果を損なうことなく毒性を緩和する対処法を見出した。また、種々のヒトリンパ腫細胞を直接的に傷害するpan-MHCII抗体の樹立に成功した。免疫増強抗体療法としては、既存のCD27やCD40に対するアゴニスト抗体やPD-1等に対する阻害抗体の組み合わせ、あるいは、I型IFNやIL-12といったサイトカインとの組み合わせの評価とともに、新たな免疫チェックポイント分子であるVISTAに対する阻害抗体の樹立に成功し、順調に進展している。しかしながら、所属研究機関の動物実験施設の移転のため、一部の動物実験の進展が予定より若干遅れている。
がん細胞に免疫原性細胞死を誘導する抗体療法としては、新たな標的としてRELTやRAGE等に対する抗体の作製を進めている。また、免疫増強抗体療法としては、既存のPD-1やVISTA等に対する抗体の評価を進めるとともに、TIGITやB7-H4といった新たな標的に対する抗体作製を進めている。
所属研究機関の動物実験施設の移転のため、一部の動物実験を次年度に繰り越す必要が生じた。
新たな動物実験スペースを確保して、昨年度分の動物実験も遂行の予定である。
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