研究課題
本課題では、DNA副溝結合化合物(マイナーグルーブバインダー)ピロール・イミダゾールポリアミド(PIP)を利用してがんのドライバー変異特異的な抗癌アルキル化剤の開発研究を行った。PIPは塩基配列特異的認識が可能で、様々な任意の二重鎖DNAに配列特異的に結合することが可能である。PIPは様々な機能性低分子との複合体(PDC)を形成でき、2016年はアルキル化剤のseco-CBIとの複合化合物によるドライバーオンコジーン変異を標的にした変異遺伝子発現阻害とDNA損傷誘導によるがん細胞特異的細胞死の誘導研究およびPIPを薬物送達技術として腫瘍取り込みや集積性、貯留性を向上させる研究に集中的に取り組み、MYCN、ALK、PIK3CA、RAFがん遺伝子の変異に対する化合物を検討した。またPIP化合物を腫瘍でより特異的に作用させるためにEPR効果様の腫瘍集積性を獲得させる研究も進めた。さらに、同PDC化合物のコンセプトで新規免疫チェックポイント阻害剤化合物の開発にも取り組みPD-1とCTLA-4パスウェイを同時に阻害する化合物を合成、特許出願を行った(特願2016-184892)。当初取り組んでいたKRAS変異に対する化合物(Nature Commun 2015)については、AMEDの援助で開発が進行、製薬企業への導出が進められている。また、PIPによる標的遺伝子発現抑制に関する研究では、前立腺がんに対するアンドロゲン転写抑制(Oncogene 2016)やミスマッチリペア遺伝子のDNAメチル化阻害化合物(ACS Omega 2016)の共同研究も進め、新たな抗癌治療法として報告した。腫瘍への効率的な集積・貯留効果とドライバー遺伝子の発現抑制、細胞死誘導により、本新規合成化合物群が、今後、有望な候補化合物として臨床試験を行い、一日も早く難治がんの患者に福音をもたらすことを期待している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
ONCOLOGY REPORTS
巻: 37 ページ: 2459-2464
doi: 10.3892/or.2017.5477.
Oncogene
巻: 35 ページ: 6350-6358
doi:10.1038/onc.2016.171
Advanced Techniques in Biology & Medicine.
巻: 4 ページ: 175
doi:10.4172/2379-1764.1000175.
Cancer Science
巻: 107 ページ: 1223-32.
doi: 10.1111/cas.13003.
Plos One
巻: 11 ページ: e0165581
doi:10.1371/journal.pone.0165581
ACS Omega
巻: 1 ページ: 1164-1172
DOI: 10.1021/acsomega.6b00229
http://www.pref.chiba.lg.jp/gan/kenkyujo/
https://www.facebook.com/CCCRI.chiba.gan.kenkyujo