研究課題
本研究では、EJC中核因子がどのようにしてスプライシング複合体と相互作用し、どのようにしてスプライシング未完了RNAを核内に繋留しているのかについてその分子機構を解明し、ゲノム情報の正常発現を保証する根幹的な細胞システムを明らかにすることを目的としている。研究代表者は、Y14を中核とするpre-EJC機能をRNA干渉法によって阻害した場合、イントロンを含むスプライシング未完了RNAが細胞質に漏出するが、この漏出にはsnRNAの核外輸送受容体として知られているCRM1が関与することを明らかにしている。さらに、核外輸送受容体類似因子NXF-2がCRM1と協調してスプライシング未完了RNAの細胞質漏出に関与するも明らかにしている。平成28年度は、EJC中核因子であるY14の機能が進化的に保存されているかどうかの検討を行った。哺乳類培養細胞であるHeLa細胞においてY14を阻害した場合のRNAを網羅的に配列解析した結果、細胞周期の進行に関係する遺伝子群に存在する比較的短いイントロンのスプライシングが未完了となることが明らかになった。しかし、これらのスプライシング未完了RNAが核外漏出しているかどうかについては解析できなかった。このような短いイントロンを含むレポーターRNAにY14などのEJC中核因子を人為的に結合させる実験から、EJC中核因子が効率的なスプライシングに必要であることが確認できた。以上のことから、EJC中核因子がスプライシングに積極的に関与すると言う点で、線虫とヒトにおいて機能的に保存されていることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)
International Journal of Molecular Sciences
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