研究課題
ゲノム編集技術を利用した培養細胞や動物個体でのノックインの効率化を図る目的で、MMEJ経路を利用した新しい遺伝子ノックイン法(PITCh法)を開発してきた。本年は、この方法をウニおよびマウスにおいて利用可能かどうかを検討した。ウニにおいては、昨年の研究結果から、遺伝子ノックインが困難であることが明らかになっていたため、TALENの活性を熱処理によって上昇させる方法を試みた。TALEN mRNAとArs遺伝子を標的とするTALEN mRNAを顕微注した胚を、胞胚において25度で30分間飼育し、レポーター遺伝子が導入されるかどうかを確認した。その結果、蛍光を発する細胞がわずかに観察され、PCRとシーケンスによってゲノムに正確にArs遺伝子座にノックインされているPCR産物が確認された。以上の結果から、非常に頻度は低いものの遺伝子ノックインが起こることが確認できた。しかしながら、胚全体へレポーター遺伝子を挿入するためにはさらなる改良が必要と考えられた。培養細胞Hek293においてノックイン効率を向上させるため、MMEJ経路に関わる因子の過剰発現を行い、MMEJ修復を上昇させるExonucleaseIを同定した。PITCh法においてExonucleaseIの過剰発現の効果を調べたところ、薬剤選抜をすることなく30%程度の効率でノックイン細胞を得ることができた。さらに、マウス受精卵でのPITCh法によるノックインにおいて、Exonuclease I mRNAを共導入することによって、最大で35%のノックイン効率の上昇が観察された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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