研究課題
申請研究を通じて,我が国の在来馬の保全に関する自然科学的ならびに社会科学的知見が得られた。これを在来馬保存に関与する人々と共有することで,その保存活動が推進された。木曽馬においては,そのマイクロサテライトならびにミトコンドリアの遺伝的多様性をもとに群の構成を明確にできた。木曽馬の現存数は少ないものの,比較的,多様性は保たれていることが明らかになった。しかし,全体数が150頭前後と少ないこと,毎年生まれる仔馬が5頭前後で推移していること,飼育者の減少と公営飼育施設での飼育中心となってきていることから,注意が必要であることが明らかになった。また,木曽馬の保存に関わるステークホルダーは,木曽馬を残したいという共通の思いを有していたものの,それぞれにおける意思疎通は十分とは言えなかった。これが保存方針をあいまいにさせており,保存活動を難しくさせた要因の1つであることが明らかになった。さらに,沖縄の在来馬,宮古馬ならびに与那国馬においても,木曽馬と同様に遺伝的多様性の解明が進められた。ここでは,両在来馬が沖縄のウマとしての近縁性を有していることが明らかになった。現状では,宮古馬の数は40頭前後と少ない。このため,何らかのトラブルが生じた場合,与那国馬を宮古馬に導入し,増数させることも検討する必要があると考えられた。また,本研究成果から,与那国馬の血統登録事業がすすめられた。加えて,対州馬,御崎馬でも同様の研究がすすめられた。ここでは,これら在来馬は外国馬種との交配がすすめられた歴史があるものの,一定の純粋性を保持していることが明らかになった。本研究がすすめられた結果,各在来馬の現状理解が進んだ。これをもとに各在来馬の保存に関わるステークホルダーとの協議がすすめられた。その結果,科学的根拠に基づいた在来馬保存をスタートすることが可能となった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Equine Science
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Journal of Veterinary Medical Science
巻: 79 ページ: 218-223
10.1292/jvms.16-0111.
巻: 79 ページ: 425-431
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