研究課題
核内構造体パラスペックル形成に必須な役割を果たすアーキテクチュラルRNA(arcRNA)、NEAT1 lncRNAに相互作用するタンパク質因子の機能解析によって、いくつかの重要な知見を得た。これまで実施者らが同定したパラスペックル形成に必須なRNA結合タンパク質RBM14, FUSの働きには、RNA結合ドメインだけでなく、それらが共通してもつプリオン様ドメインによるヒドロゲル形成活性が重要であることを、西オーストラリア大との共同研究によって明らかにし、J Cell Biol誌にその成果が掲載された。一方、RNA結合タンパク質以外の必須因子として前年度までに発見していたSWI/SNFクロマチン再構築複合体の働きをさらに詳細に解析し、この複合体がNEAT1 lncRNAや他の必須タンパク質とRNA-タンパク質およびタンパク質間相互作用し、これらの因子を空間的に集約するパラスペックル会合のハブとして機能していることを明らかにした。さらにCRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いてSWI/SNF複合体の活性サブユニットBRG1のATPase部位に変異を導入したところ、パラスペックルの会合機能には影響を与えないことが明らかになった。これによってSWI/SNF複合体は、ATPに依存したクロマチンリモデリング活性と異なる新規な作用機構によって、NEAT1に依存したパラスペックル形成のハブとして働いていることが示された。この成果論文はPNAS誌に掲載された。
1: 当初の計画以上に進展している
パラスペックル形成に必須なタンパク質因子の新しい働きを複数明らかにすることができ、2報の論文を国際的に評価の高いジャーナルに掲載できたことから、当初の計画以上に進展したと判断できる。
今年度に取り入れたゲノム編集技術を、これまでRNAI技術に頼っていた機能阻害実験の代わりに全面的に導入することによって、これまでよりクリアかつ長期的な機能阻害効果をモニターする系を立ち上げて、本研究をさらに強固なものにしていく予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
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