研究課題
1. 前年度までに詳細に明らかにしてきたパラスペックル核内構造体の構成タンパク質の中の、特にプリオン様タンパク質の役割の解析を進めた。まずパラスペックルの構造骨格として機能するNEAT1 lncRNAが、通常のRNA抽出操作に対して著しい難抽出性を示すことを明らかにし、この性質は注射針に抽出液を通すなどの力を加えることによって抽出できることを発見した。この難抽出性を司る原因が、プリオン様タンパク質とNEAT1との複雑な相互作用ネットワークによることを明らかにするために、パラスペックルを構成する複数のプリオン様タンパク質のKO細胞株を作製し、その中からFUSというRNA結合性のプリオン様タンパク質が、NEAT1の難溶性に関わることを見出した。さらにFUS KO細胞へのレスキュー実験によって、プリオン様ドメインを欠いたFUSではレスキューができないことが明らかになり、FUSのプリオン様ドメインが難溶性を決定することが明らかになった。さらにFUSの結合領域であるNEAT1領域を欠失させた変異NEAT1は難溶性が著しく弱まることが明らかになった。これによって、FUSとNEAT1のRNA-タンパク質相互作用の重要性が明らかになった。この難溶性は、パラスペックル構造体の構造構築を支える性質であることも明らかになった。2. NEAT1の難溶性を考慮して、パラスペックル構成因子の定量解析を実施し、1つのパラスペックルには約50分子のNEAT1が含まれることが明らかになった。また1分子のNEAT1に結合する各プリオン様タンパク質の定量解析を行うためのCLIP-seqデータを収集した。また共同研究によって電子顕微鏡と超解像顕微鏡を用いて、各構成因子のパラスペックル内のおおまかな存在領域を明らかにした。上記研究成果は、EMBO Journal、J Cell Biolの一部として発表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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