研究課題
イカなどの軟体動物はヘモシアニンという超巨大蛋白質会合体をもちいて,酸素運搬を行っている.ヘモシアニンはその大きさを利用して,ハプテンのキャリア蛋白質やワクチンの免疫賦活剤として利用されている.このように応用研究に用いられる一方で,これまで,X線結晶構造解析による高解像度での構造解析は成功していないため,詳細な構造は明らかになっていなかった.本研究では,X線結晶構造解析により,分子量4MDaにも及ぶ超巨大なヘモシアニン会合体の原子構造を決定する事を目指す.前年度までに,スルメイカ由来ヘモシアニンの3.0Å分解能の結晶構造解析をStructure誌に成果を発表した.平成28年度は,無酸素状態でのヘモシアニンの結晶構造解析を目指した.8オングストローム分解能のデータを用いて,分子置換法による解析を行ったところ,結晶中でのパッキングが明らかになり,これは酸素存在下での結晶のパッキングとは大きく異なっていた.精密化のできる精度のデータ収集を試みたが,良質なデータは得られなかった.ドメイン間の相互作用解析を目指し,各ドメインの異種発現系の構築を試みた.ゲノムDNAからサブクローニングし,幾つかのドメインの大腸菌発現ベクターを作成した.大腸菌を用いて発現させたところ,可溶性の分子として調製することができた.精製した試料の分光学的特性を調べたところ,活性部位に存在するべきCu2O2クラスターが結合していないことがわかった.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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