研究課題
AサブユニットのX線結晶構造解析---前年度までの研究によりヌクレオチド非結合型Aサブユニットの結晶構造を分解能1.8 Aで決定した。本年度はADP結合型Aサブユニットの結晶構造を得ることを目的に、ADPとの共結晶化を進めた。得られた結晶についてX線結晶構造解析を行ったが、ADPと考えられる電子密度は存在していなかった。変異A3B3複合体の作製及び機能構造解析---前年度の研究により、A3B3変異体R350Kの結晶を得ることに成功している。本年度は、X線結晶構造解析を継続し、本変異体の結晶構造を3.5 A分解能で決定した。また、この変異体のATPase活性を測定したところ、ATP加水分解能を失っていることが明らかになった。複合体の構造形成と機能制御の分子機構モデルの提案---3年間の研究により、Aサブユニット、Bサブユニット、AMP-PNPが結合したA1B1複合体、A3B3変異体(R350K)のX線結晶構造を解明した。また、各サンプルのATPase活性やDF軸複合体との結合親和性などの生化学的性質を明らかにした。得られた結果を総合して、V1モーターの構造形成と機能制御の分子機構モデルを以下に提案する。AサブユニットとBサブユニットはヌクレオチド非存在下では相互作用しない。ATPやADPがAサブユニットに結合(親和性は10 uM程度)することにより構造変化し、Bサブユニットと結合可能となる。この結合にはBサブユニットに存在するRフィンガー(R350)が重要であり、ATPの加水分解にも必須の残基である。得られたA1B1複合体はDF軸複合体と結合能を持つようになる。さらにA1B1DF複合体に2分子のA1B1複合体が結合することによりV1複合体が形成されるというモデルである。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat. Commun.
巻: 7 ページ: 13235
DOI: 10.1038/ncomms13235