研究課題
細菌Staphylococcus aureusに由来する小型のCas9(SaCas9)、sgRNA、(5’-TTGAAT-3’ PAM、5’-TTGGGT-3’ PAM)を含む標的DNAからなる複合体の結晶構造を決定し、SaCas9-sgRNAによるDNA認識機構を解明した。構造情報をもとにSaCas9を改変し、新規の転写活性化ツールおよび誘導型ヌクレアーゼを作製した。細菌Francisella novicidaに由来する大型のCas9(FnCas9)の構造機能研究を行った。機能解析の結果、FnCas9は5’-NGG-3’という塩基配列をPAMとして認識することが明らかになった。FnCas9、sgRNA、(5’-TGG-3’ PAM、5’-TGA-3’ PAM)を含む標的DNAからなる複合体の結晶構造を決定し、FnCas9-sgRNAによるDNA認識機構を解明した。構造情報をもとに5’-YG-3’ PAMを認識するFnCas9改変体を作製した。FnCas9-sgRNA RNPをマウス受精卵に注入することにより5’-YG-3’ PAMをもつ標的配列のゲノム編集に成功した。3種類のSpCas9改変体の結晶構造を決定し、それらのPAM認識機構を解明した。野生型SpCas9との比較から、アミノ酸置換により標的2本鎖DNAの構造変化が引き起こされPAM認識が改変されていることが明らかになった。SpCas9、SaCas9、FnCas9の構造を比較することにより、CRISPR-Cas9系における保存性および多様性が明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
SaCas9、FnCas9の結晶構造をCell誌に発表し、SpCas9改変体の結晶構造をMol Cell誌に発表したため。
piRNA経路の中核因子であるPIWIに関して結晶構造解析を進める。
Cas9オルソログの結晶構造決定を目指したが、適切なタイミングで放射光施設ビームタイムを確保できなかったため、それらの実験をH28年度に延ばす必要があったため。
物品費(タンパク質調製、結晶化試薬)として使用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
Cell
巻: 164 ページ: 950-961
10.1016/j.cell.2016.01.039
Molecular Cell
巻: 61 ページ: 886-894
10.1016/j.molcel.2016.02.018
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http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2015/36.html
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2016/4599/