研究課題
■PPARg基質結合ドメイン(LBD)の基質依存的構造変化の解明:GW1929およびRosiglitazone結合型の構造をDIORITE解析から得られたペプチド面配向情報をもとにして構造精密化を進めた.基質依存的な構造変化について,さらに詳細に解析するためにPRE等の異なるNMR構造情報を得るための研究を継続する.■SRC1に含まれる2つのPPARg結合モチーフの動的構造特性の解析:SRC1のN末端部のモチーフ領域のフラグメント大量発現系を用いて,NMRスペクトル解析を進めた.全長の場合と同様の低存在率構造を持つことがわかった.SRC1の2つの結合モチーフ間には分子内で相互作用しておらず独立に存在していることが明らかになった.SRC1の2つのモチーフ部についてのスピン緩和解析を行い,緩和分散あるいはCESTにより低存在率構造の精密解析を進めている.■SRC1 LxxLLモチーフ構造が持つ体存在率構造のPPARg結合への寄与の解明:LxxLLモチーフ部近傍に低存在率構造が存在することを明らかにしているLxxLL-2モチーフを対象として低存在率構造の違いとLxxLL-PPARg相互作用強度の相関を解析した.Rosiglitazone結合状態でのPPARgに結合にたいするLxxLLモチーフの結合能をTR-FRETで計測する系を作成した.野生型では,Kd=4.1 microMであった.LxxLLモチーフ構造のモデルから,過渡的構造破壊につながる可能性のある4つの変異体を作成した.その結果,T704Gは解離定数が7.0になるまで結合能が低下することが明らかとなった.NMR構造解析から,当該変異体では低存在率構造が変化していることがわかり,低存在率構造がPPARgとの結合に関わることがわかった.さらに詳細な構造解析を進めている.
2: おおむね順調に進展している
計画した研究は,予定通り進展している.今年度の研究で,SRC1結合モチーフ側の低存在率構造がPPARgとの結合能を制御することを実験的に明確に証明できたことは大きい.今期のこの成果を受けて,さらに詳細な低存在率構造解析研究を展開する.
当初計画を変更することなく,計画に従って進める.上記のように,本研究で最も重要なポイントとなる,LxxLL結合モチーフを含むフラグメントの低存在率構造の変化が,PPARgとの結合能の違いにつながることを明確に示すことができた.天然変性領域であるLxxLLモチーフ部の低存在率構造がもつ,生物学的な役割を初めて示すことができる研究に展開できる.
予定していた論文発表が,データ整理に時間がかかっていたために年度内に投稿できなかった.従って,この分の投稿費用および英文校閲料が,未執行となったことが主たる理由である.
上記の論文については,すでに投稿準備を完了した.これから論文を投稿をする.前年度未執行予算を,この論文投稿費用に充てる.
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e-J.Surf.Sci.Nanotech.
巻: 13 ページ: 79-84
10.1380/ejssnt.2015.79
Biochemistry
巻: 53 ページ: 5568-5578
10.1021/bi5007817