研究課題
「研究の目的」,「研究実施計画」に沿って幾つかの興味ある知見が得られた.目的・計画Ⅰ-1(新規ジアシルグリセロール(DG)代謝経路の探索・同定):1.DGキナーゼ(DGK)α,δとηは1,2-DGに加え,2-モノアシルグリセロール(MG)をリン酸化することを明らかにした(投稿中).また,興味あることに,DGKθはDGKα,δ,ηとは異なり,1-MGをリン酸化するユニークなアイソザイムであることが明らかになった.2.DGKζは神経細胞分化時に16:0/16:0-DGを選択的にリン酸化することを明らかにした(投稿準備中).目的・計画Ⅰ-2(新規DG代謝経路の生理機能・調節機能): 1.脳特異的DGKδノックアウトマウスを作製し,強迫性障害様の表現型を示すことを明らかにした(投稿準備中). 2.ミリスチン酸(14:0)がDGKδ(2型糖尿病と連関する)の発現量を増加させる(倍増)ことによって筋細胞の糖取り込み能を亢進することを見出した(投稿中).3. DGKη-KOマウスはGSK3βのリン酸化の低下を通じ双極性障害の躁状態に類似する表現型を示すことを明らかにした(J. Neurochem. 2016).4.DGKηのプレクストリン相同ドメインは特異的且つ強力なホスファチジルイノシトール4,5二リン酸結合領域であることを明らかにした(J. Biol. Chem. 2016).5.DGKηがDGに親和性の高いユニークなアイソザイムであることを明らかにした(FEBS Lett. 2015).目的・計画Ⅱ(DGKアイソザイム特異的な活性制御剤の開発):1. DGKα特異的阻害剤は,肝細胞がん,子宮頸がん,メラノーマ細胞の死滅を誘導し,逆にT細胞では活性化することを明らかにした(J. Lipid. Res. 2016).
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画の11項目の内,前年度からの通算で8項目(73%)で顕著な進捗があった.まだ,進捗が見られない項目についても,それらの困難性は概ね解決しつつある.
まだ顕著に進捗していない項目を中心に推進して行く.また,進捗のあった項目についても更に前に進める.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
J. Lipid Res.
巻: 57 ページ: 368-379
10.1194/jlr.M062794
J. Biol. Chem.
巻: 291 ページ: 8150-8161
10.1074/jbc.M115.648717
J. Neurochem.
巻: 137 ページ: in press
FEBS Lett.
巻: 589 ページ: 1272-1277
10.1016/j.febslet.2015.03.032
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