研究課題
生物が生命を維持するためには、細胞が分裂して増殖する過程において、遺伝情報を正しく継承されなければならない。染色体は細胞周期に一度だけ正確に複製される。また、エピジェネティックな情報も維持されなければならない。CRL4-Cdt2によるユビキチン化を介した分解系は、S期が開始するとクロマチンにロードされたPCNAに依存して、複製開始因子Cdt1、ヒストンメチル化酵素Set8、CDKインヒビターp21などを素早く分する。また、UVなどによるDNA損傷時にも同様なシステムが機能する。このような分解の分子機構を明らかにするため研究を行なった。1. Cdt2のC末に存在する18か所のCdkリン酸化コンセンサス部位SPあるいはTPのSおよびTをアラニンAに変異させる(Cdt2-18A)とS期及びM期でのリン酸化がほぼ抑制されたので、実際にCDKがCdt2をリン酸化することをin vitroで確認した。精製したCRL4-Cdt2を32P-ATP存在下で精製サイクリンA-Cdk2あるいはサイクリンB-Cdk1でリン酸化反応を行うと32Pの取り込みが起こり、アラニン変異Cdt2-18Aでは低下した。Cdt2-18Aは、クロマチン結合能が増加し、免疫染色によるとクロマチン結合PCNAとの結合量が増加していた。これに伴って、Cdt1に対するポリユビキチン化活性が増加していた。さらに、S期後期から見られるSet8やp21の蓄積が低下していた。これらのことから、CDKによるCdt2のリン酸化はPCNAとの結合を阻害して、S期後期からの基質の蓄積を促すと考えられた。2. UV照射後のCdt1分解にはヌクレオチド修復系に加えて、ミスマッチ修復系も独立に関わることを発表した。ヌクレオチド修復系あるいはミスマッチ修復系に関わるタンパク質(それぞれ、XPA、Msh6)の発現をノックダウンするとCdt1分解が遅れるが、同時に両タンパク質をノックダウンすると、さらにCdt1の分解が抑制された。この効果は、U2OS細胞及び正常線維芽細胞でも見られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes Cells
巻: 23(3) ページ: 200-213
doi: 10.1111/gtc.12563
巻: 22(4) ページ: 392-405
10.1111/gtc.12481
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/life/biosig/japanese/Top.html