研究課題/領域番号 |
26291026
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
飯田 秀利 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70124435)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 電位作動性カルシウムチャネル / サブユニット / 出芽酵母 / タンパク質間相互作用 |
研究実績の概要 |
出芽酵母のCch1は、ほ乳類の電位作動性カルシウムチャネルのα1サブユニットのホモログである。Cch1がカルシウムチャネルとしてはたらくためには、サブユニットであるMid1の存在が不可欠である。本研究では、Mid1に依存しない変異型Cch1の取得と解析を目的とした。その取得に当って、細胞外に出ているCch1のシステイン残基(Cys)に着目した。Cch1には細胞外に出ていると予想されるCys残基が10個ある。本研究によりそのうちの2残基がMid1との相互作用に必要であることが示唆された。一方、Mid1に着目すると、細胞外に出ていると予想されるCys-rich領域には10個のCys残基が存在する。今年度の研究の結果、そのうちの2残基がCch1との相互作用に関与する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cch1分子とMid1分子上の互いに相互作用する可能性の高い部位を特定できたため。これにより、今後両分子間の相互作用の実像を明らかにできれば、Mid1がなくても活性をもつCch1分子をデザインできると予想される。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度にCch1分子上でCys残基がタンパク質間相互作用をしている可能性が示唆されたので、このCys残基がジスルフィド結合をしているか否かを調べる。同様にMid1分子上のCys残基がジスルフィド結合をしているか否かを調べる。また、Cch1の細胞外ループにランダムに変異を導入して、Mid1に非依存的にはたらける変異型Cch1をスクリーニングする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度において、計画していたMid1に非依存的にCa2+を取込める変異型Cch1のスクリーニングを行ったが、目的のものは単離することができなかった。この原因として、Cch1が2,039アミノ酸残基から成るという非常に大きな分子であるために、Cch1にランダムに変異を入れる方法では、変異箇所に偏りが出た可能性が考えられた。そこで、同年度中に研究戦略を変え、Cch1分子上でMid1と相互作用をする可能性のある領域を特定することに切り替えた。そして、その特定に成功した。このような背景から、変異型Cch1の塩基配列決定に使用する費用を次年度に繰り越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度特定に成功した、Cch1分子上でMid1と相互作用をする可能性のある領域にMn-PCR法、および大腸菌XL1-Red株利用法を用いて、ランダムに突然変異を入れる。その領域を、Cch1全長になるようにCch1の他の領域と融合させ、mid1 cch1二重欠損株に導入し、mid1非依存的にCa2+を取込める株を多数分離する。分離した株からプラスミドDNAを取り出し、塩基配列を決定する。次年度使用額は、このような一連の研究に使用する。
|