研究課題
電子顕微鏡観察は標的分子並びに細胞小器官だけでは無く、それを取り囲む環境を含めた超微細構造として可視化出来る利点がある。クライオ電子顕微鏡観察は化学固定すること無く、無染色で真の構造が観察出来る期待が持たれるが、TEM 観察故、その分解能は試料の厚さに制限がある。そこで、空間分解能が理論的には試料の厚さに影響を与えないFIB-SEM を用いて最小限度の細胞小器官を有するシゾンを生命の基本である細胞分裂過程のモデル生物として選び、電子顕微鏡観察で苦手であった標的分子の同定を網羅的複数同時にマッピングしながら細胞丸ごとレベルで超微細構造解析を行う。平成29年度は電子顕微鏡観察では多少苦手とされる、シゾンの細胞分裂過程において、オルガネラに存在する2標的分子の同時同定やダイナミックスを有効に確認するためにコピー数を調節し得る新たな相同性組換え体発現系開発を行い、無事成功した。2種類の標的分子を同時に発現できる系が確立出来たことは相互作用をイメージングする事においても有意義な結果である。シゾンは実験室に於いては振盪培養で生育するため、今まで生きた状態で同一細胞の細胞分裂過程のダイナミックスを追うことは困難であり、報告は無い。今回、私達は自作した光の明暗調整ユニットを利用し、細胞分裂を同調させながら特殊な基板上での1細胞毎のシゾン細胞のタイムラプス観察にも成功した。電子顕微鏡のための試料作製も概ね確立したこともあり、FIB-SEMと3次元再構築法から新たに3D構造モデルも150個以上となった。光学顕微鏡からの結果並びに色素体内のチラコイド膜の推移と比較しながら細胞分裂の時系列にあわせたより正確な超微細構造モデルを得ることを可能とし、英文書籍にてその結果を報告した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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