研究課題
細胞膜において、コレステロールと飽和脂質に富んだ微小ドメイン構造(ラフト)は、膜タンパク質の局在や機能調節に大きな役割を果たすと考えられている。多様な信号を受容するGタンパク質共役型受容体(GPCR)も、その機能にラフトが関わると考えられている。しかし、ラフトの微小さと動的変化のため、ラフトが機能調節に果たす役割は未解明である。本研究は、安定なポリマー脂質膜と生体脂質膜をガラス基板表面でハイブリッド化したパターン化人工膜を用いて、生体膜のラフト領域(秩序液晶相:lo相)と非ラフト領域(無秩序液晶相:ld相)が相分離した人工膜に膜タンパク質を再構成し、lo相・ld相への分配からラフト親和性を定量的に評価する手法を開発した。そのために、視細胞において光受容に関与するロドプシン光受容体:Rh)と光シグナルを伝達するGタンパク質トランスデューシン(Gt)をパターン化人工膜に再構成し、lo相・ld相領域における分子密度を1分子蛍光観察により定量的に評価した。その結果、Rh、Gtともに、単量体はラフトへの親和性が比較的低いことが分かった。この結果は、従来の生化学的手法による結果と一致している。一方、Rh二量体や、光活性化Rh (Rh*)とGtの複合体(Rh*-Gt)がRh単量体よりも高いラフト親和性を持つことを観測した。これは、膜タンパク質の多量体・複合体形成によりラフト局在が変調され、シグナル伝達機能が制御されることを定量的に示す重要な結果である(論文準備中)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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