今後の研究の推進方策 |
O2還元過程の赤外/可視分光解析。結晶中のCcO反応の追跡に利用できる化学的性質を検証しつつCaged O2化合物の設計合成を継続する。フローフラッシュ法により完全還元還元型および部分(2電子)還元型CcOによるO2還元過程の赤外/可視分光解析を行う。Caged O2化合物による対照実験も行う。またCaged O2化合物を利用して結晶中での反応過程を追跡する。 時分割X線構造解析。初年度に開始したCO光解離後の時分割X線構造解析により赤外分光学的にとらえられている中間体のX線構造決定は昨年度ほぼ完了したが、実験条件の改善によってさらに分解能の向上を目指す。この結果に基づいてプロトン取り込み機構の理論的解析を昨年度に引き続き継続する。上述の結晶中での反応過程の赤外/可視分光解析結果に基づいて各反応中間体(A, P, F, O)の存在割合の最も高い時間の見積りを行い、その時間でのX線構造のXFELによる時分割解析を行う。時間的制約と学術的重要性を考慮して中間体Aを第一目標とする。静的状態でのP, F, O中間体のX線結晶構造を可能な最高分解能で決定する。 チトクロムc/CcO相互作用解析。TLC法によるCcOに直接関与するアミノ酸残基の同定、チトクロムcとCcOとの熱力学的解析を行う。また、チトクロムc/CcO複合体の2次元および3次元結晶構造解析の結果及び代謝回転中の酵素基質複合体の構造解析結果に基づいて、チトクロムcによるプロトンポンプ制御機構の解明を目指す。平行してHigD1a結合型の高分解能X線構造およびラマン分光解析に基づいたプロトンポンプ機構の議論も行う。 中性子構造解析のための結晶化条件の探索。当面3オングストローム分解能を目標とする。 理論解析による評価をうけた上述の実験結果にもとづいてプロトンポンプ機構を演繹する。
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