研究課題
細胞の移動やがん細胞の浸潤転移などの様々な生命現象に関わる細胞膜の突起構造に関わる膜形態を制御するタンパク質として、膜の形態を直接結合することにより変形させるF-BARドメインを含有するタンパク質に注目する。F-BARドメインはこれまで、突起ではなく細胞膜の陥入構造に関与すると考えられてきた。しかし、CIP4とGAS7は、F-BARドメインを持つにもかかわらず突起構造への関与が見出されており、これまでと異なる作用機序を持つ可能性の高い。したがって、CIP4とGAS7の構造機能解析および細胞生物学的な解析を行う。CIP4については、特異的な結合タンパク質を得た。本年度の研究では、CIP4の陥入膜形成を特異的な結合タンパク質がどのように変化させるかについて、まず試験管内で生化学的手法により調べるために、タンパク質の大量発現系の構築を行った。その結果、大量のタンパク質の調整に成功した。このタンパク質をもとに、ウサギに免疫を行い、特異抗体の作成を行った。また、生化学的にCIP4と特異的な結合タンパク質の脂質結合を調べるためのリポソーム共沈実験を行った。GAS7については、すでに突出膜形成の関わる細胞機能に関わることを明らかにしている。本年度の研究では、GAS7のF-BARドメインの構造解析に成功した。GAS7のF-BARドメインは、これまで構造が解明されているF-BARドメインに照らし、幾つかのユニークな特徴を有していることがわかった。さらに、GAS7全長の結晶の作成にも成功した。次に酵母の2-hybrid法を用いて、GAS7の結合タンパク質を探しいくつかの結合タンパク質の候補を得た。
2: おおむね順調に進展している
CIP4の結合タンパク質については、結晶の作成にはまだ至っていないが大量発現系の構築に成功している。GAS7については、想定よりも早く結晶構造の決定に一部成功している。機能解析は順調に推移している。
計画通りに遂行する予定である。
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http://bsw3.naist.jp/suetsugu/