YPELについて、いくつかのYPEL抗体を検討したところ、内在性のタンパク質の検出に成功した。この抗体を用いて、免疫染色を行なったところ、内在性のCIP4やPACSIN2との共局在の観察に成功した。また免疫沈降実験により内在性タンパク質同士の会合を確認した。さらにsiRNAによる発現抑制実験を行い、CIP4やPACSIN2の局在する膜構造の形状が変化することを確かめた。これらのことから、確かにYPELはCIP4やPACSIN2の局在や機能を制御していることが示唆された。一方タンパク質発現系については、発現量の改善は見られず、今後結合部位の同定や可溶化のための変異体作成を進める予定である。 GAS7について、全長の構造より立体構造を決定したものの、これまでに決定できたドメイン以外は構造決定できなかった。変異体解析の結果、凹面の膜結合面を持っていることがわかった。結合タンパク質を酵母2-ハイブリッド法により同定し、実際の結合を共沈実験及び発現タンパク質の共局在により観察した。現在、これらのタンパク質がGAS7の脂質膜への結合などの機能にどのように関与しているか解析している。マクロファージのGAS7ノックアウト株を作成し、GAS7の機能を調べたところ、ファゴサイトーシスカップの形成に関与していることが示唆された。ファゴサイトーシスカップは突出膜様の構造であり、凹面の膜結合面を持つBARタンパク質が機能することは非常に興味深い。また超解像解析を行い、ファゴサイトーシスにおけるGAS7の局在を詳しく調べている。
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