研究課題
エンドサイトーシスは細胞外シグナルの受容、栄養供給を通じて、様々な生理機能の制御に必須な役割を果たす。初期発生ではシグナル伝達活性や組織の構造がダイナミックに変化し、その制御にはエンドサイトーシスが関与すると考えられる。私たちはこれまでに、マウス初期胚で「ミクロオートファジー」とよばれる極めてユニークなメカニズムでエンドサイトーシスが進行することを見出している。このユニークな膜ダイナミクスが欠損するマウス胚が示す表現型を胚レベルで解析し、ミクロオートファジーを伴うエンドサイトーシスが組織構築、初期胚パターン形成を支配する原理を明らかにすることを本研究の目的とした。ミクロオートファジーには低分子量GTP結合タンパク質rab7が必須である。rab7を欠失するマウス胚は、初期発生、中胚葉組織を形成する原腸陥入途中で発生が停止する。この発生停止の機序を探るため、組織特異的なrab7遺伝子欠損のもたらす結果を調べたところ、胚本体のrab7遺伝子機能は必須ではなく、胚体外組織(臓側内胚葉:VE)においてrab7機能が必要とされることを明らかにした。VEは直接、中胚葉組織に寄与するわけではなく胚本体の分化をサポートしている。すなわち、rab7の機能はnon cell autonomousな機構をもって中胚葉誘導に関与する。この現象を分子レベルで理解するため、中胚葉誘導因子の検討をおこなったところ、Wntシグナルの異常が明らかとなった。rab7変異胚ではミクロオートファジーを伴うエンドサイトーシスが起きないため、細胞内、外に、異所的にWntシグナルの負の制御因子が蓄積して中胚葉誘導が阻害していることが明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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