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2015 年度 実績報告書

配偶子膜融合活性化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26291052
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

井上 直和  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50379096)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード受精 / 精子 / 卵子 / 膜融合 / IZUMO1 / JUNO
研究実績の概要

受精を成立させる精子と卵子の膜融合は、正に生命の誕生という極めて重要な現象であるにも関わらず、その仕組みは解明されていない。我々は世界に先駆けて精子と卵子の膜融合に必要とされる因子IZUMO1を同定し (Inoue N et al, Nature, 2005)、その融合活性に不可欠なコア領域を見出した (Inoue N et al, Development, 2013)。この領域はαヘリックス含量が高く、2量体化を引き起こす。さらに我々は培養細胞にIZUMO1を発現されることで、精子の代わりに卵子との接着を再構成できることを見出し、これには融合コア領域が必須なことを明らかにした。
本年度は、受精の融合因子IZUMO1を中心とした新たな哺乳類の配偶子間膜融合の分子メカニズムを明らかにした (Inoue N et al, Nat Commun, 2015)。精子上のほとんどのIZUMO1は単量体で存在し、卵子側のカウンターレセプターであるJUNOを認識する。この時、卵子上のJUNOは精子周辺に集合し、それがトリガーとなりIZUMO1は、2量体化を伴うダイナミックな構造変化を引き起こす。その後、JUNOとの親和性は急速に失われ、JUNOに代わり、第二の未同定卵子レセプターと強固に結合し、細胞膜同士の距離を物理的に近づけて脂質二重膜の斥力を崩壊させる働きがあると考えられる。しかし、細胞-卵子のアッセイ系では卵子との強力な接着は生じるものの膜融合は生じない。このことから、これにはSPACA6、CD9などの他の因子の関与が必要であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究課題によって推進された研究成果が、2015年に査読付き国際学術論文に掲載された (Inoue N et al, Nat Commun, 2015)。次年度以降も積極的に研究成果を国際サイエンスコミュニティーや国民に向けて発信するとともに、研究計画に沿って新たな発見ができるよう、尽力したい。

今後の研究の推進方策

研究計画は順調に進展しているため、特段の計画変更はない。次年度以降は、第二のIZUMO1レセプターの同定や精密立体構造解析、さらに他の融合因子との関連性を含めて包括的に研究を推進したい。

次年度使用額が生じた理由

次年度以降に消耗品等の物品を高額購入予定があるため。

次年度使用額の使用計画

次年度以降、研究計画に沿って適正に予算を執行し、学術研究助成基金助成金より高額物品を適宜購入予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Oocyte-triggered dimerization of sperm IZUMO1 promotes sperm-egg fusion in mice2015

    • 著者名/発表者名
      Inoue, N., Hagihara, Y., Wright, D., Suzuki, T., Wada, I.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: 8858

    • DOI

      10.1038/ncomms9858

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Isolation and characterization of antigen-specific alpaca (Lama pacos) VHH antibodies by biopanning followed by high throughput sequencing2015

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki, N., Kiyose, N., Akazawa, Y., Takashima, M., Hagihara, Y., Inoue, N., Matsuda, T., Ogawa, R., Inoue, S., Ito, Y.
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 158 ページ: 205-215

    • DOI

      10.1093/jb/mvv038

    • 査読あり
  • [学会発表] 融合因子IZUMO1の構造変化による新規膜融合モデル2016

    • 著者名/発表者名
      井上直和
    • 学会等名
      第121回日本解剖学会
    • 発表場所
      ビックパレットふくしま
    • 年月日
      2016-03-30 – 2016-03-30
    • 招待講演
  • [学会発表] 融合因子IZUMO1の構造変化による新規膜融合モデル2015

    • 著者名/発表者名
      井上直和、萩原義久、Danelle Wright、鈴木貴久、和田郁夫
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-04 – 2015-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 融合因子IZUMO1の構造変化による新規膜融合モデル2015

    • 著者名/発表者名
      井上直和
    • 学会等名
      日本動物学会第86回新潟大会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-18
    • 招待講演
  • [学会発表] Novel insights into the molecular mechanism of sperm-egg fusion via IZUMO12015

    • 著者名/発表者名
      Naokazu Inoue
    • 学会等名
      Proceedings of the 79th Annual Meeting of the Botanical Society of Japan, Niigata 2015
    • 発表場所
      朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター
    • 年月日
      2015-09-07 – 2015-09-07
    • 招待講演
  • [備考] 研究内容に関するWebページ

    • URL

      http://www.fmu.ac.jp/home/cellsci/kenkyu.html

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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